2019年12月15日

新年以降のガス輸送、停止濃厚

 こちらによると、ロシア・ウクライナ間ガス輸送契約が年内に妥結しない可能性が高まってきた。
 13日は2020年度のウクライナ領ガス輸送の予約期限日であるが、ヨーロッパのオペレーターからの予約は入っていない。したがって1月1日以降のロシアガスの輸送は行われないことになる。
 ポーランドのPGNIG社は新年以降にウクライナ経由EUへのロシア・ガス輸送が停止した際のシナリオに言及した。
スロヴァキア経済相は「危機の瀬戸際にある」と記者会見で述べた。
しかし、パニックの根拠はないことも指摘しなければならない。情報ポータルサイトAGSI+のデータによると、EU諸国のガス備蓄は92%レベルの1070億m3に達している。ウクライナ経由の輸送量は年900億m3であり、備蓄は輸送量の14か月分にあたる。ガスプロム社はヨーロッパのガス備蓄庫に記録的な注入を行っており、ウクルトランスハス社の数字では3億200万m3/日に達している。
斯様な数字は、ノルドストリーム改修時の7月に見られただけであり、ガスプロムもヨーロッパも特段の問題は生じていないことになる。しかし、ウクライナは異なる。
 第一に、リバース輸入用の供給源が激減することになる。ウクライナはスロヴァキア、ハンガリー、ポーランド等から輸入しているが、輸送が停止されれば、彼らのガスが不足することになり、販売が続けられないかもしれない。ウクライナ政府はすでにガス備蓄を200億m3以上積み上げているが、スクブチェンコ氏はこの数字にはヨーロッパ企業の備蓄量が含まれていると指摘する。同氏は、ナフトガス社に属する備蓄量は120億m3以下であり、そこからガスパイプラインシステムの圧力維持に60億m3を充てる必要がある。
 第二の問題は、ガスパイプラインシステムそのものの運命である。急速に陳腐化する。第三に、ナフトガス社の輸送料収入2.5億ドル/月が損なわれる。2月以降、入金がなくなる(12月分の輸送料は1月に入金)。
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 ロシア・メディアの報道。モルドヴァと沿ドニエストルが即死するリスクについては言及してません。
posted by 藤森信吉 at 10:52| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月13日

EBRD、モルドヴァに緊急融資

 EBRDはモルドヴァの緊急ガス輸入時に5000万ドルを融資する確約を行った。
 モルドヴァはロシア輸入ガスに依存しているが、燃料の備蓄はなく、2019年末に失効するロシア・ウクライナ輸送契約の影響を受けるリスクがある。モルドヴァ首相とEBRD東欧コーカサス担当課長が調印した合意書によれば、モルドヴァ側の要請があればEBRDはモルドヴァ国営輸入会社Energocom社の支払いに対し最大5000万ドルの信用を与えることになる。これにより、Energocom社はナフトガス・ウクライナ社から一か月分のガス輸入代を確保できることになる。ナフトガス・ウクライナ社は公募でEU市場から最大4億m3のガスを購入し、モルドヴァに輸送することになる。
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 ガスプロム・ウクライナ間の輸送契約交渉が越年するとの見通しが強まっているのでしょうか。それ以上に沿ドニエストルはどうするんだろう。
posted by 藤森信吉 at 13:18| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月11日

モルドヴァ、ガスのリバース輸入準備中

 モルドヴァガス社は、新年以降、ルーマニア、ブルガリア経由で天然ガスを購入する計画を立てている。
 ミルドヴァガス社のプレスリリースによると、モルドヴァ側はウクライナ側と、国境のすべての共通ポイント用の相互接続合意の契約を結ぶことで合意しており、またカウシェニ(注、沿ドニエストル側)のガス計測基地でも改修工事が行われていることも明らかにされた。これにより、ルーマニア側およびウクライナ側からの、トランスバルカン・ガスパイプラインをリバース利用してのガス供給が可能となる。
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新年以降のガス欠対策。沿ドニエストル共和国側も改修工事に協力する模様なので、おこぼれに預かれるのでしょうか。
posted by 藤森信吉 at 09:01| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月05日

ロシアからの電力輸入を再び禁止

 ウクライナ最高会議はロシアからの電力輸入を禁止する条項を修正追加した「電力市場法」を可決した。
 同法では、二者合意下でロシア連邦からの電力を売却・供給することが禁止される。9月19日に、ウクライナ最高会議は、ゲルス議員提案によるロシアおよびベラルーシからの電力輸入を許可する決定を下して10月には601百万kw/hの電力を輸入していたが11月15日以降、輸入価格が国内価格を上回ったことにより輸入量はゼロに落ち込んでいた。
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 ロシアからの電力輸入許可は、コロモイシキーの会社に便宜を図るため(ちゃっかり輸入してます)&新年以降に電力不足になるかもしれないモルドバ対策でロシアからお願いされたと言われていますが果たして。後者だとすると、年内に確実にロシアとのガス輸送契約が締結されるということになる。
posted by 藤森信吉 at 20:52| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月04日

ロシアとの原油パイプライン輸送契約を10年延長

 ウクルトランスナフタ社は、トランスネフチ社と10年間の輸送契約を結んだ。
 12月3日、ウクライナのウクルトランスナフタ社とロシア・トランスネフチ社は、ウクライナ領を経由する原油輸送契約を2030年1月1日まで、10年間延長する追加合意に調印した。両者の調印劇は、クロアチアで開催中の「21世紀におけるエネルギー」国際コンファレンスに出席した機会を利用して行われた。同社は「追加合意はウクライナの原油輸送システムの安定と持続を長期にわたり保証するものであり、ヨーロッパ諸国向けの原油輸送ルート稼働の土壌となり、わが社の長期的な安定した収入源となる」と述べた。
 両社は、将来的な協力の展望についても協議した。ウクライナ領経由のヨーロッパ向け原油輸送量は2018年に前年比4.3%の1333万トン、また国内製油所向けは0.2%減の210万トンであった。
posted by 藤森信吉 at 17:06| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月03日

大統領、エネルギー供給源の多元化を推進

 ゼレンシキー大統領は、エネルギー供給源の多元化を推進する大統領令に署名した。
 大統領が承認した国家安全保障国防会議決定「エネルギー安保の緊急措置」において、閣僚会議は2020年7月1日までに原油・原油製品・天然ガス・液化ガス・無煙炭の供給源および供給ルートの多元化問題の措置を策定し、一つの供給源の依存度を30%以下にする。
 また、閣僚会議はロシアからのエネルギー商品などの禁輸の否定的な影響を中和する複合的な措置も策定する。
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原子力は除外されているとのこと。30%は以前から提唱されてましたね。しかし供給源の定義がよくわからんなー。EUは一つなのか、国別なのか、企業別なのか。ルートの数え方もはっきりしない。
posted by 藤森信吉 at 12:54| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月30日

ウクライナ、ガスプロムから債務を一部回収済

 こちらによると、ウクライナは既にストックホルム裁定のガス債務の一部をロシアから受領済である。
 ナフトガス・ウクライナ社のヴィトレンコ専務代行は、ウクライナのテレビ番組において「ガスプロムはストックホルム裁定を履行していない、ウクライナは輸送契約に関して46億ドルの勝利を得たが、20億ドルはすでにガス現物の形で受領済である。残りの約30億ドル分については、現金決済をガスプロムが拒んでおり、それ故、ナフトガス社は世界各地のガスプロム資産を差し押さえている。30億ドルのガスでも良いが、現金の方が好ましい」と述べた。
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 ロシア側の報道は「ストックホルム裁定、断固拒否」だったが、実はこっそり履行していたということか。
posted by 藤森信吉 at 16:39| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月29日

モルドバ「ガスプロムから購入する方が安い」

 こちらによると、モルドバガス社長は、ガスプロムから直接購入する方が、EU市場から調達するよりも安い、と述べた。
 チェバン・モルドヴァガスCEOはNTVモルドヴァの番組内において「ヨーロッパのガス・ハブ取引では116-120ドル/1000m3と確かに安いが、我々がガスプロムと結んでいるような長期契約には、例えば、前払いはない。ハブ取引では前払いが必要でさらに輸送料が付加される。モルドヴァまではプラス80ドルで、都合200ドルとなり、ガスプロムとの長期契約で我々が購入している価格と同じだ。また、冬季にかけてガス需要が高まるが、過去9か月の石油製品価格を参照した我々の価格は200ドルとなる。一方、冬季のハブ取引価格は300ドルとなり、大きな差となる」と述べた。
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 ガスプロムではなくEU市場で購入したガスをウクライナ経由で輸送しよう、というウクライナ側のお誘いを拒否。というか、モルドバガスの大株主はガスプロム。
posted by 藤森信吉 at 15:43| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月27日

今度はリビア原油を輸入

 こちらによると、ウクルトランスナフタ社はクレメンチュク製油所に向けリビア原油の輸送を開始した。
 11月9日にリビアを出港したタンカーが8万1200トンの原油を輸送、原油の品質チェックを経て、26日にウクルトランスナフタ社はエルシャララ原油をクレメンチュク製油所に向けオデッサ・クレメンチュクルートで輸送を行った。ウクルトランスナフタ社がシャララ原油を取り扱うのはこれが最初である。7月にはクレメンチュク製油所向けにアメリカのバッケン原油を輸送している。これにより、ウクルトランスナフタ社は、国内原油の汲み出しだけでなく、4種類の原油輸送、すなわち、Urals、Azeri Light、Bakken、そしてEl Sharara の輸送経験を有したことになる。



posted by 藤森信吉 at 14:14| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月24日

ウクライナ、ベラルーシとオデッサ・ブロディ共同管理を協議

 こちらによると、ウクライナとベラルーシは、オデッサ・ブロディ原油パイプラインの共同管理企業創設について協議を行った。
 オルジェリ・エネルギー環境保護相は、ウクライナ・ベラルーシ・エネルギー部門協力グループ会議後、「ウクライナ経由でオデッサ・ブロディを利用したベラルーシへの原油輸送が議題に上った。また、モズィル製油所へ原油を輸送する合弁企業の創設についても協議され、ワーキンググループの立ち上げで両者は合意した」と述べた。
 9月末、ルカシェンコ大統領は、ロシアの関税政策によってロシア原油は不利益となっており合意に至っておらず、代替原油供給源を模索している、オデッサからのルート、あるいはグダニスクからのロシア原油のリバース輸入、イラン、アメリカ、UAE原油の購入を考えている、と述べていた。10月には、ベラルーシはカザフスタンと原油供給で合意したと発表していたが、そのためにはロシアと輸送問題を解決しなければならない。
posted by 藤森信吉 at 19:43| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする