2019年11月16日

プーチン、ウクライナを語る

 プーチン大統領がブラジリアのBRICSサミットに出席後、記者会見を行った。以下、ウクライナ関係の部分のみピックアップ。

Q「ドンバス紛争について年が変わり前にノルマンディーフォーマット会談はあるのか、またゼレンスキーとの1:1の会談はあるのか」
プーチン「ノルマンディーフォーマット以外の会談はありえない。ゼレンスキー大統領がドンバス特別地位に関する別の法を採択するかもしれないと仄聞しているが両人民共和国との合意を得なければ全ては頓挫していまう。シャタインマイヤー様式は内容を記したものではなく単なる手続きを定めたものである。もう一つ、12月31日にドンバス特別地位法が失効する」

Q「今年末にガスプロム・ナフトガス契約が失効するが、ウクライナ経由のガス輸送が停止する脅威を感じているか。またベラルーシとの契約も年末で失効するが、交渉はどうなっているのか」
プーチン「ウクライナとの交渉は幾度も述べているように、ロシアガス輸送についてウクライナ側と協議する用意があるし、ウクライナにガス供給する用意もある、ガス価格はリバース輸入するよりも20-25%安くなる。皆に理解していただきたいのは、リバースは不可能であるということだ。ガスはパイプの半分が一方向へ、もう半分が他方向へ、とはならない。また今日、ナフトガス社がまたもや60億ドル以上を求めて仲裁に提訴しており、事態をエスカレーションしている。EU法に基づく規定は我々も受け入れられるがこれはもっぱらウクライナ側に課せられた問題であり、契約失効はこの点を考慮する必要がある。ベラルーシとの交渉は順調に進んでおり年末までに規定できると思う。
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 Газ не может в полтрубы течь в одну сторону, а в полтрубы – в другую.  この認識は正しいのでしょうか。ガスは流れでなく圧力だから、どこから抜くこともできるのでは。 というか、新政権誕生後、ウクライナの二大課題たるドンバス和平、ガス交渉はどちらも合意できていないということに。
posted by 藤森信吉 at 14:09| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月08日

モルドヴァ、ガスのリバース輸入可能に

 こちらによると、ウクルトランスハス社はオデッサ州フレベニキのガス計測ステーションの改修工事を完了した。
 これにより、ロシア連邦によるガス・トランジット停止に際してもウクライナ・モルドヴァ間のガス輸送が可能となる。改修後、輸送力は7000万m3/日となり、他方で、モルドヴァ→ウクライナ方向への輸送力も400万m3/日となる。
 本プロジェクトはCentral and South Eastern Europe energy connectivity (CESEC) のイニシアチブによるものであり、トランス・バルカン・パイプラインを通じてギリシャ〜ブルガリア〜ルーマニアを通じてウクライナ、モルドヴァへ天然ガスを輸送することが可能となる。
 ヴィクル・パルリコフ・モルドヴァ国家エネルギー規制局前局長は、モルドヴァの20年来の待望が実現しガスの代替供給源が生じた、リバース体制により仮に現行の供給体制が停止した場合にもモルドヴァの南・中央部に十分なガスを供給できる、リバース体制では1200万m3/日が可能であり、さらに500万m3/日がウクライナから供給されることになる、と述べた。また、ウンゲニ・キシナウ・ガスパイプラインの建設の意義は、供給源は大きければ大きいほど良いのだからモルドヴァの交渉力を高めることになる、しかし政治的計画の段階にとどまっている、と指摘した。



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 ウクライナのリバース輸入と混同してしまうが、モルドヴァ的なリバース輸入は南からの輸入のことのようだ。で、さらにウクライナがリバース輸入したガスも北から輸入可能。さよなら、ガスプロム! そして沿ドニエストルは大ピンチ。
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2019年11月01日

ウクライナ国立銀行、ガス輸送量の縮小を予想

 ウクライナ国立銀行は2019-2021年のインフレ率および経済成長率上方修正に関する予測を公表した。
 その中でロシアはウクライナのガス輸送パイプラインの迂回建設を進めており、ベース予測では2019年の輸送量900億m3から2020年には500億m3、2021年には300億m3に縮小し、経済への直接的な損失は2019年比で2020年はGDP比0.6%、2021年は0.9%に達する、とした。
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ゼロではないようです。
posted by 藤森信吉 at 23:02| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月29日

三者ガス協議、終了

 こちらに10月28日に行われたウクライナ・ロシア・欧州委員会三者ガス協議の情報がまとめられているので簡単に紹介。
 シェフチョビチ委員はウクライナ領経由のガス輸送に関して三者協議で成果がなかった理由として、ロシア側が必要な文書の入手を怠ったせいで「ロシア側は文書や法、私の提案を検討する時間が必要である」と指摘した。ショフチョビチ委員は次ラウンドは11月を提案している、と述べた。
 ロシアのノヴァーク・エネルギー相は「訴訟問題を含めて一括して問題解決をする必要がある」と述べた。
 ナフトガス側は「ロシア側はこの問題を解決する公式提案を手交していない。従ってストックホルム裁定のガスプロム側債務を含む一括解決は不可能である」とした。またウクライナのガス輸送システム・オペレーター・ガスプロム関係はEU法に則するとした欧州委員会側の提案を建設的で100%支持すると評価した。
 既報通り、前回9月の交渉では、ガスプロム側が初めて2020年以降のガス輸送契約にサインする意向を示した。ショフチョビチ委員はウクライナとロシアが異なる優先度を持っており、ウクライナ側は輸送契約、ロシア側はウクライナ消費者への直接供給に関心を持っている、と指摘していた。
posted by 藤森信吉 at 16:21| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月21日

ポーランド「ウクライナへの輸送能力は年20-30億m3」

 ポーランドのGAZ-SYSTEM社によると、ウクライナ側が挙げたポーランド→ウクライナの年間輸送量66億m3は過大な数字である。
 ポーランドのガス輸送オペレーターGAZ-SYSTEM社は、ウクルトランスガスおよびナフトガス社がポーランド・ウクライナの接点で輸送量が年66億m3に増加した、と発表したことについて、現行では輸送力がない、と述べた。現行では中段可能な確約ベースで年20-30億m3が限界であり、66億m3はさらなる投資が必要であり、然るべき投資が経済的な分析を経て、両者の契約上の義務のもと決定されることになる、とした。
 コボリェフ・ナフトガス社長は、17日、リヴィウ州の加圧基地の連結パイプラインが完成したことにより、ポーランドから年66億m3のガスが輸入可能となった、と述べていた。
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 2020年以降に供給問題があるので、ウクライナ側としては数字を盛りたいところ。
文中 interruptible conditionally firm basisって定訳あるのかね?



posted by 藤森信吉 at 19:40| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月18日

ガスプロム「直接供給で20%安くなる」

 こちらによると、ミレル・ガスプロムCEOは「ウクライナ向け直接供給が実現した際には20%安くなる」と発言した。
 ミレルCEOはメドヴェージェ首相と会談した際、「西欧からのリバース供給より我々の供給の方が著しく安価である。ウクライナの末端消費者は現行レベルから20%安くなる可能性がある」と指摘した。また、ミレル氏は、ロシアが必要量を確保するためにウクライナは購入の意思があるのか、購入量はどれだけか確定する必要があり、また、2020年1月1日までに独立したガス輸送オペレーター、独立した規制といった法律を確立する必要があり、これこそが新輸送契約に至る唯一の道である」と述べた。
 首相は、ウクライナでは政権交代にもかかわらず、リバース購入が続けられており、一般のウクライナ国民は25%余計に支払わされている、と述べた。
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posted by 藤森信吉 at 23:15| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月22日

ナフトガス社、2020-24年度のガス輸送料を提示

 こちらによると、ナフトガス・ウクライナ社はロシア産ガスのヨーロッパへの輸送料を試算した。
 それによると、2020-24年の5年間の年600億m3契約で、ウクライナのガス輸送システムの輸送料は3.21ドル(VAT含む)/1000m3/100km、同900億m3契約で2.56ドルとなる。また、2019年のロシアガスの輸送料は2.61ドルとなる。2018年のウクライナのロシア・ガス輸送量は前年比7.1%減の867億7920万m3であった。内838億m3がヨーロッパ向け、29億m3がモルドヴァ向けであった。
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輸送料を5%程値引き。ロシア側の契約条件は、輸送料の値引きとストックホルム裁定等の係争取り下げなのだが、果たして大型長期契約まで辿り着けるか。
posted by 藤森信吉 at 21:16| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月12日

ナフトガス、ドドン・プーチン合意を批判

 ナフトハス・ウクライナ社は、モルドヴァ・ロシア大統領合意を批判した。
 「ウクライナは国益が空想的割引と引き換えられたときから長き道程を歩んできた。5年前、我々はガスプロムと政治介入なしに、ガスを国に供給することが可能となっていた。今日、モルドヴァは我々の2014-15年の経験を再現できるかもしれない。例によってロシアの値引き価格は実際は値引きではない。モルドヴァは今やスロヴァキアでガスを購入しウクライナ経由で輸送すれば、国境価格は190ドルとなる。一方、ガスプロムが謳う「値引き価格」は237ドル/1000m3で20%も高い」とfacebookでナフトハス社は指摘した。
 ドドン大統領は、プーチン大統領との合意で10月1日以降のガス価格は10-15ドル値引きとなり、2020年1月1日以降は40-50ドル引き、2020年4月1日以降は70ドル値引きされる可能性がある、と述べていた。
posted by 藤森信吉 at 12:38| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月10日

ウクライナのリバース輸入能力、年250億m3に

 こちらによると、ウクライナのEU側からのガス輸入量が6910万m3/日に達した。
ガス輸送システム(GTS)・ウクライナ管理会社のマクホン社長によると、ウクライナのヨーロッパ側からのガス輸入量は6910万m3/日で最高記録を更新した。ウクライナはポーランド側ルートの輸送力を4.3万m3/日から6.4万m3/日に増強し、スロヴァキア・ハンガリー・ルートの最大限利用と合わせて、斯様な数字を達成した。
ウクライナは暖房シーズン入り前に、地下ガス備蓄量200億m3水準を目指している。2020年以降、ガスプロムの輸送量が停止される怖れが出ているためである。現行の7500-7800万m3/日の備蓄流入量が続けば、暖房シーズン入り時に210億m3超となる。9月7日時点では188.1億m3となっている。
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ウクライナ危機以前のリバース輸入能力は年100億m3以下だったはずで、随分と強化されたものだ。
posted by 藤森信吉 at 14:22| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月09日

ポーランド、アメリカのLNGをウクライナに供給

 PGNiGは、ウクライナ向けLNGをアメリカから購入した。
 ポーランドのPGNiG社はアメリカからのLNGを購入し、再ガス化の後、ウクライナ・エネルギーリソース社に販売する。契約タンカーは11月初旬、レフ・カチンスキ名称LNGターミナルに到着し再ガス化後、ポーランドのガス輸送システムに注入され、ヘルマノビツェのコネクションを経てウクライナにもたらされる。ウクライナのパートナー企業には2019年末に輸送される。ポーランドへのLNG輸入量は劇的に増加しており、そのシェアは2016年には総輸入量の8.5%であったが、2018年には20%になっている。
ERU社は「ウクライナは最終到着地ではなく、ハンガリー、ルーマニア、モルドヴァへも輸送可能だ」と述べた。
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 やや古い記事ですが、忘備録として。ウクライナの将来的なガス不足をアメリカ・ポーランドが解消! と思ったのですが、よく読むと、スポットで買い付けたLNGをあちこちに転売、という話のようです。
posted by 藤森信吉 at 11:09| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする