2020年11月08日

ウクライナからEUへの「ガス再輸出」、はじまる

 こちらによると、ウクライナからEUへの史上初のガス再輸出が開始された。
 ウクライナ・ガス輸送システムオペレーター社のマコゴン社長はfacebookに、ウクライナは上10か月間において61億m3をshorthaul体制でEUから輸送したが、ほぼ全量が地下ガス貯蔵庫にあり、10月に1500万m3がヨーロッパ諸国に再輸出された。以前は輸送と輸入のみだったが、今や再輸出も行われている」と記した。shorthaulにより5億フリブナが同社に新たにもたらされた。コボリェフ・ナフトガスウクライナ社長は「ウクライナの地下ガス貯蔵庫の魅力的な条件により、過去10年間で最高の283億m3、90%がガスで満たされており、内100億m3は外国オペレーター企業によるものである、と述べた。ウクライナ・ガス輸送システムオペレーター社によると、2020年上10か月間でshorthaul体制によりスロヴァキアから41億m3、ハンガリーから15億m3、ポーランドから5億m3が輸送されている。
 ウクライナのshorthaulは2020年1月1日に投入され、ウクライナ経由でポーランド、ハンガリー、スロヴァキア、ルーマニアへ輸送する企業は、特別料金が適用される。「保税倉庫」サービスは、ウクライナ地下ガス貯蔵庫を利用するのに魅力的な条件となっている。124358373_3423281224431690_2430043403112038675_o.png
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EU市場のガス価格の変動を見ながら、通関切らないでウクライナの地下ガス貯蔵後に保管しておくサービスのようです。年始にガスプロムとの輸送契約が切れたので色々なサービスが可能に。90年代からガスプロムのガスとかトルクメニスタンのガスがヨーロッパに再輸出されていたとかは禁句。
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2020年10月28日

11月の住民向け天然ガス価格、30%値上げ

 こちらによると、11月の住民向け天然ガス価格は10月比で3割程度の値上げとなる。
 ガス・プラウダ社の調査によると、7フリブナ/m3以下で供給する企業は5社で、最安値のナストガス・ウクライナ社が6.33フリブナ/m3(前月比34.7%増)、8.85-9.00フリブナのゾーンには11社で最高値はザポロジカススヴィト社で8.96フリブナ/m3(前月比31%増)となる。これらガス卸売り企業は当該地域の住民のほとんどに天然ガスを供給する州ガス(オブルハス)の株式を所有している。2020年8月1日から、ウクライナのガス市場は開放され、ナフトガス・ウクライナ社は、特別義務価格によるガス供給を廃止している。住民向け天然ガスの69%(供給量ベース)は、RGKグループ、2%はナフトガス・グループ、29%はその他企業が行っている。



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 日本の住民向け都市ガス価格の1/5くらい。
RGKグループはフリタシ傘下でしたっけ?。2006年のウクライナ・ロシア天然ガス戦争後、RosUkrEnergo社をテコにしたフィルタシ一派が一気に州ガスの株式を買い占めたはず。発電はアフメトフが独占しているし、ウクライナのインフラはオリガルヒががっちり抑えている。
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2020年10月21日

アメリカもウンゲニ・キシナウ・ガスパイプラインに関心

 ルーマニア外務省によると、ルーマニア外相とポンペオ米国務長官は黒海沿岸地域のエネルギー安全保障について意見を交換した。
 両国は、黒海棚のルーマニアのガス埋蔵が地域安全保障に関与し、また、ウンゲニ・キシナウ・ガスパイプラインによるルーマニア・モルドヴァ間のガス接続がルーマニアをヨーロッパのガス市場に引き入れることになる点に注目した。ルーマニア外相は、アメリカの関与により大陸棚のガス開発が早急に行われることが重要であり、ルーマニアとモルドヴァ、その他諸国のエネルギー独立を確保することになる、と指摘した。
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トランプ政権はガスプロム叩きに熱心だが、政権交代した場合はどうなるのだろうか。モルドゥをガスプロムから引き離すのは沿ドニエストルの発電と関係するので非常に難しいが。
posted by 藤森信吉 at 22:09| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月15日

縮小するウクライナの石油製品輸送

 こちらによると、1-9月のウクライナ経由の石油製品輸送量は前年同期比マイナス23%だった。
 マイナス23%減で6万4200トンにまで落ちたが、内ディーゼル燃料輸送は前年同期比マイナス26%で5万4500トン(内ベラルーシからモルドヴァが4万900トン、ロシアからポーランドが1400トン)だった。モルドヴァ向けガソリンの輸送料はマイナス53%で5700トンに低下した。モルドヴァ向けビチューメンおよび航空燃料の輸送は今年度はなく、ベラルーシ産重油のモルドヴァへの輸送は3500トンであった。
 2019年度のウクライナ経由の鉄道による石油製品輸送量は前年比30%マイナスの10万2100トンだった。
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単純計算で2年間で輸送量は半減ということに。モルドヴァはルーマニアから輸入しているのか?
posted by 藤森信吉 at 21:21| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月09日

偉大なルーシの結びつき

 こちらによると、ウクライナのディーゼル燃料輸入源のトップにロシアが返り咲いた。
 2020年9月、ウクライナは60万4200トンのディーゼル燃料を輸入したが、これは前年同期とほぼ同量であった。ウクライナの輸入ディーゼルの主要供給者であったベラルーシ製油所は22万3300トン(前年同期31.6万トン)と減らしたが、これはロシアとの係争により、ロシアからのパイプライン供給が滞ったためである。ロシアからの輸入量は24万2500トン(前年同期10万3600トン)と急増した。これは第一に鉄道による直接供給によるものであり、またベラルーシのゴメリにあるパイプラインターミナル経由でのロシア産ディーゼル燃料の供給量も12%増の7万9200トンとなった。リトアニ アからの輸入量は5.53万トンで前年同期比と同量であった。
 ウクライナの上9か月ディーゼル輸入量は456.5万トンで、前年同期比1.7%増であった。ロシアのシェアは41.5%から42.6%へ僅かながら増加した。
 ベラルーシ原油会社(Белорусская нефтяная компания)は主要契約者との間で、2021年度にディーゼル燃料に5ドル/トンのプレミアを載せる交渉を行っているが、ボーランド市場向けよりも高い、としてウクライナ側に不評である。
posted by 藤森信吉 at 12:52| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月05日

モルドヴァ、ウクライナの地下ガス貯蔵庫を初利用

こちらによると、モルドヴァ・ガス社史上初めて、トランスバルカン・ルートを経由してウクライナの地下ガス貯蔵への注入が開始される。
 150万-300万m3/日の量で同社は地下ガス貯蔵に組み入れており、冬季暖房シーズンに利用される。10月および11月に1億m3を蓄えることを計画しており、2020年12月から2021年2月の間に消費者に供給される。モルドヴァの天然ガス消費量は年10億m3で内80%は冬季シーズンに集中している。


posted by 藤森信吉 at 11:33| Comment(1) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月04日

ウンゲニ・キシナウ、ついに完工

 こちらによると、ウンゲニ・キシナウ・ガスパイプラインが完工した。
 120km長のパイプラインは年15億m3を輸送する能力がある。2021年にルーマニアの投資によりオネシュティ・ゲラエシュティ区間(165km)および2つの加圧基地が完工すると、輸送能力は22億m3になる。その場合、本パイプラインはモルドヴァ(沿ドニエストル含む)の年平均ガス消費の75%をカバー、また冬季のピーク時にその60%をカバーできることになる。第一ステージにおいては、150万m3/日のガスがモルドヴァに輸送され、2020年12月1日までには300万m3に増強される。加圧基地と調整基地が設置された後、2021年1月1日までに400万m3となる。ウンゲニ・キシナウ・パイプラインの工事は2019年2月18日に開始され、プロジェクトの概算費用は8000万ユーロである。



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理論上、モルドヴァはロシアなしに必要な天然ガスを確保できることになる。モルドヴァ側がガスプロムとの契約を切ると沿ドニエストルを完全に干すことができるが、そうなると沿ドニエストルの発電が止まって電力が来なくなるので、当分はだらだらした関係(沿ドニエストルがガスプロムのガスをタダで利用)が続けられるでしょう。
posted by 藤森信吉 at 13:25| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月28日

ウクライナ、南進

 こちらによると、ウクライナはギリシャやトルコ経由で天然ガス輸入が可能となっている。
 マコホン・ガス輸送システム・オペレーター社長によると、2020年1月1日以降、リバース輸送は技術的・法的に可能となっており、今やウクライナの輸入業者はブルガリア、ルーマニアのガス輸送システムを利用してギリシャから輸入することもできる。マコホン氏は「南からのガス輸入は、ウクライナのエネルギー供給源および供給ルートの多元化の意味がある。トランス・バルカンルートでのリバース輸入は、ギリシャやトルコのLNG基地、さらにはカスピ海諸国からのパイプラインへウクライナがアクセスできることを意味している。同時にトルコストリーム稼働後、ロシアからウクライナ〜モルドヴア・ルーマニアへのガス輸送量は70%減となっているため、リバース輸入できる余地が出ている。これはウクライナのエネルギー安全保障の新たな一因となる」と述べた。一方で、南からのガス輸入は、モルドヴァのガス輸送システムオペレーターとの契約が必要であり、目下、ウクライナ、ブルガリア、ルーマニア、モルドヴァのオペレーター企業はこの方針を発展すべく協議中である、とも指摘した。ウクライナとルーマニアのオペレーター企業は2019年末にヨーロッパ規則に基づいた技術的な合意書に調印しており、ウクライナ・モルドヴァ間でも同様の合意が得られている。



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ガスプロムが「トルコストリーム稼働でウクライナを干した」と思っていたら、実はウクライナを潤していた図。
posted by 藤森信吉 at 12:21| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月18日

モルドヴァの上半期石油製品輸入統計

 こちらによると、2020年上半期のモルドウァの石油製品輸入量は前年同期比1.1%増だった。
 モルトドヴァは同期間中、38万1900トンの石油製品を輸入したが、内ディーゼルは26.87万トンから28.07万トンにぞうか、他方でガソリンは8万トンから7.24万トンへ、LPGも2.88万トンから2.86万トンへ減少した。
 ガソリンの供給国はルーマニアでシェア100%、ディーゼルのシェアは74.4%だった。また、LPGの主要供給国はカザフスタン(53.8%)で、これまでトップだったロシアは、21.3%(22.2ポイント減)で、ルーマニア(23%)に抜かれて3位に転落。この他、ベラルーシやブルガリアからも原油製品は輸入されている。
 モルドヴァでは19社がガソリン・ディーゼルの輸入・卸売りのライセンスを有しており、12社がLPGのライセンスを有している。モルドヴァ領内には704のガソリンスタンドがあり、内504は全ての石油製品を取り扱っている。
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 単価が急落したので、輸入量は保たれているとのこと。ロシアからの輸入量低下の理由は何だろうか。因みにモルドヴァには製油所がありません。
posted by 藤森信吉 at 14:55| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月02日

ウクライナの2020年上半期ガス輸入

 こちらに上半期ガス輸入が総括されているので簡単に紹介。
 
 上半期のガス輸入量は70億m3を超えたが一方で通関をきったのは37.4億m3に過ぎない。マコゴン・ガス輸送システム・オペレーター社長によると、輸入ガスの半分近くは、トレーダーによって、通関を切らずに地下ガス備蓄庫から汲みだされているため、差が発生する。汲みだされたものは2019年に備蓄されたガスである。2019-2020冬季は温暖であり、備蓄分が利用されなかった。コロナ禍で自宅待機となると、産業は止まり、消費量は落ち込んだ。ヨーロッパの地下ガス備蓄庫は100%詰まっており、ヨーロッパのトレーダーはウクライナに持ち込んできた。ウクライナの備蓄庫の使用料はヨーロッパより安い。以前は、ヨーロッパからウクライナの地下ガス備蓄庫に輸入するには、ガス輸送システム利用料をフルに支払う必要があったが、需要増に応えて、ウクライナは割引料金を導入した。しかし、備蓄分をウクライナ消費者に売る場合、フルの利用料と付加価値税、そして通関する必要がある。現時点で、ウクライナの地下ガス備蓄庫には210億m3のガスが備蓄されており、7000万m3/日が注入されているため、暖房シーズン前には25-260億m3の備蓄レベルに達することになる。
posted by 藤森信吉 at 22:14| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする