2015年10月21日

シリア介入のコストは400万ドル/日

 こちらによると、ロシアのシリア空爆コストは400万ドル/日である。IHS Jane'sの試算によると、空爆、供給、インフラと整備要員、巡航ミサイル発射のコストは、9月30日の空爆開始以来、8000万-1億1500万ドルに達している。ロシアの国防予算500億ドルと比べると、微々たる額であるが、コストとロシアの関与の度合いは膨れ上がるとクレムリンはみている。シリア紛争は数年続き、兵士が死ねば、ロシアの関与は劇的にエスカレートすると専門家は警告している。
 36攻撃機、20攻撃ヘリがシリア内の基地から一日あり40回出撃しており、これが三週間続いている。地上要員は1500-2000人と伝えられており、黒海やイラン、イラク領空経由で送り込まれた。攻撃機は飛行時間あたり12000ドル、攻撃ヘリは3000ドル要する。攻撃機の平均飛行時間を一日あり90分、ヘリ1時間とすと、24時間あたり71万ドル。毎日、75万ドル相当の弾頭を投下している。要員のコストは一日あたり44万ドル、地中海に艦艇を張り付けるにはプラス20万ドルを要する。また、ロジスティック、情報収集等のコストも25万ドル/日かかる。すなわち、最小で一日あたり240万ドルかかるが、実際のコストは2倍に達すると見積もられている。巡航ミサイルは一発120万ドルであり、26発発射分で3600万ドルとなる。
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シリア介入の現時点での総コストはロシア国民の年金額1%アップ分に相当する、とのことで、懐かしのサミュエルソン大先生の「大砲かバターか」を思い起こさせる。持続可能性に疑問が呈されているが、他方で、軍需産業を潤すことができる、とも指摘されている。
 どうでもいい計算をすると、シリア介入コストは、既に沿ドニエストルのGDPを超過。 
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2015年09月28日

プーチン「アメリカがヤヌコヴィッチ転覆を画策した詳細な証拠がある」

 こちらによると、プーチン大統領はCBS、PBSとのインタビュー内で、アメリカがウクライナの国家転覆を指示した、と指摘した。
 プーチン大統領は「ロシアはウクライナの主権を尊重している。それは国家転覆、反憲法的行為、違法な政権交代を許さないことであり、そのような行為をとったことはない」と述べた。その点から「カラー革命」については許容できず、またアメリカが、ヤヌコヴィッチ大統領に反対する勢力を支持したことを隠そうとしていないことに注意を喚起し、ロシア・ウクライナ間には、数千の様々なコンタクト・関係があり、「誰が、どこで、いつで、ヤヌコヴィッチを転覆しようとする連中と会って、いくら払ったか、我々は詳細に知っている」と述べた。
 また、ウクライナは文化、歴史、その他の関係でロシアと最も近い兄弟国である、とした。
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2015年09月12日

ラヴロフ、ドンバス地方選挙を語る

こちらによると、ラヴロフ外相は、人民共和国はウクライナ法に則した地方選挙を行う用意がある、と述べた。
 ラヴロフ外相は、スーダンおよび南スーダンの両外相との共同記者会見において、記者からの質問に答え、「ドネツクとルガンスクでは、ミンスク合意に記されているようにウクライナ法に基づく選挙実施の用意ができており、OSCEの選挙監視を受け入れる用意もあり、ウクライナ側と協議して合意を望んでいる。彼らは自らの領土上で、右派セクター等の過激派が選挙活動することに反対ししている。ウクライナ政府は、ミンスク合意の文面に反し、ドンバスの特別地位、改憲その他は地方選挙後に実施するといっている。ウクライナ側は地方選挙が実施されないよう手段を講じている」と述べた。また、OSCE/ODIHRのタナ・デ・ズルエッタ氏が、ドンバスの選挙監視を行わないと述べた件について、「OSCE原則のひとつ、参加国の招待原則で我々は常に活動しているが、国家でない構成体の招聘は受けられないとなると、選挙実施の必要な条件を確保できなくなる」と批判した。
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 お約束の「右派セクター」。記者会見の文面を読む限り、ウクライナ側と合意のないドンバス地方選挙は、ミンスク合意に則するとはみなさない、と受け取れる(要は人民共和国に歩み寄らないウクライナ側を批判しているのだろうけど)。しかしラヴロフ、手元見すぎで、仕込み質問とわかってしまうのが惜しい。視線を手元の落とさないのがアメリカ流プレゼンの基本ですぞ。
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2015年07月14日

ロシア外務省、ウクライナの改憲案を批判

 ロシア外務省は、ウクライナの改憲案を批判した。
 ウクライナ最高会議が近日中にポロシェンコ大統領の改憲案第一読を採択する予定であるが、分権化についてウクライナ南・東部代表との協議がされていない、協議はミンスク合意(2/12)で「ドネツク・ルガンスク州の特別地位を持つ地区の代表との協議を考慮する」と規定されている。さらにキエフは、ドネツク、ルガンスク代表の改憲案を適用していない。キエフ政権によるドンバス住民の利益を無視する戦術はウクライナ危機の解決を不可能とするばかりでなく、ウクライナ和平に尽力する国際社会の努力を損ない、ヨーロッパ大陸の安全と安定の脅威となる。
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 このままで行くと、DNR、LNRの改憲案を無視したウクライナ憲法の採択→DNR、LNRでウクライナを無視した地方選挙を強行→特別地位の棚上げ、事実上の現状維持、となる。現状維持は、ロシアがどこまで人民共和国を援助するかにかかっているが、お金なさそう。
posted by 藤森信吉 at 12:02| Comment(0) | ロシア外務省ウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月23日

ラヴロフ、ウクライナの単一制と中立維持を主張

ロシア外務省HPによると、ラヴロフ外相は、ラジオ番組の生中継に出演し、ウクライナ問題について答えた。それによると、ウクライナはロシアの隣国かつ兄弟民族であり、ウクライナは単一国家(クリミアは別)であるべき、として、人民共和国の国家承認を否定した。その上で、ロシアの利害は、ウクライナを解体させず、政治的・軍事的中立を維持させることにある、とした。また、ロシアはウクライナの単一制維持を望んでいるが、そのためにはウクライナはミンスク合意における全ての義務-分権化、憲法改革を実施しなければならない、と再度強調した。

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 ぶれないラヴロフ閣下のお言葉。コピペしても誰も気付かないはず。一般に、単一制と連邦制は対立用語なのだが、一国の枠内=単一制、くらいで使っているのだろう。
三行でまとめると
・人民共和国の国家承認はしない(面倒みたくないから)
・ウクライナは単一制(でも分権化しろよ)
・NATO加盟は許さん(マイダン以降はNATO・ヨーロッパ諸国による陰謀)
posted by 藤森信吉 at 11:20| Comment(0) | ロシア外務省ウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月19日

ラヴロフも特別地位法(その2)を批判

ラヴロフ外相は、記者会見において、ウクライナ議会が採択した特別地位法を批判した。それによると、特別地位は地方選挙後に発効するが、その選挙実施と結果の承認がキエフに依存しており、いかなる追加条件も、加えられるべきではない、とした。これに関して、ラヴロフは、ドイツとフランスの外相に特別親書を送り、ミンスク合意の政治部分に対する重大な侵害に注意を喚起し、独仏ロ三者共同でウクライナに働きかけることを呼びかけた。
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ガボン外相との共同記者会見のせいか、素っ気ないお言葉。何となくお疲れの様子も伺える。
ミンスク合意では「選挙はウクライナ法に基づく」→キエフが選挙干渉する ということなら、そもそもの合意文に無理があるということではないだろうか。

 
posted by 藤森信吉 at 12:13| Comment(0) | ロシア外務省ウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月08日

ラヴロフ、OSCE特別監視ミッションの増員に賛成

 こちらによると、ラヴロフ・ロシア外相は、シュタインマイアー独外相と、ウクライナ情勢について電話で会談した。会談では、停戦体制と重火器の撤去の遵守に前進があり、現実的コントロールを確保するために、OSCE特別監視ミッション(SMM)強化の必要性が指摘された。さらに両外相は、SMM人員を千人まで増員し、技術的・予算的リソースを付与する決定をOSCE常設理事会が採択することに賛成した。
また、「ミンスク合意履行に関する包括措置」の全項目遂行のためコンタクトグループの早急な作業開始でも合意した。
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 旧社会主義空間にNATOはダメ、OSCE(CSCE)はOK、というのが、ロシア(ソ連)外務省のスタンスだったことを思い出させるニュースだ。増員されるSMMは、ザル状態のロシア国境を含む全ての地域を監視できるのだろうか。
posted by 藤森信吉 at 08:21| Comment(0) | ロシア外務省ウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月06日

ウクライナ外務省、ロシア渡航に注意喚起

ウクライナ外務省は、ロシア連邦へ渡航を計画する国民に対し、注意を喚起した。それによると、最近、ロシア領土上において、ロシア治安機関がウクライナ国民を根拠なく拘留し非人道的に扱う事件が生じており、このような領事関係に関する国際法違反にはシステム的な性格が見られるという。ウクライナ外務省は、国民に対し、問題が生じた場合、在ロシア・ウクライナ領事部ホットラインへ連絡するよう勧告している。

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 ロシアの治安機関が、ウクライナ国民とロシア国民とを一目で識別できるとは思えないが、「ドキュメント!」と片っ端から検問しているのだろうか。こういった個人的な経験の積み重ねも、国民感情の形成につながるんだよねえ・・・ 
posted by 藤森信吉 at 15:06| Comment(0) | ロシア外務省ウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月30日

欧州評議会よさらば!ロシア代表堂々退場す

 欧州評議会HPによると、欧州評議議員会議(PACE)は、ロシア代表団の投票権、代表権を4月まではく奪する決定を採択した。本決議は、ロシアによる「ウクライナに対する継続的な深刻な暴力と国際法の侵犯」を明白に非難するものである。
 また、本決議は、リットンStefan Schennach(オーストリア)代議員の調査報告に基づいており、「クリミアの非合法な併合および統合」とロシアが行う「ウクライナ東部におけるロシア兵の軍事行動と兵器供給を含む事態の煽動・エスカレーション」を非難している。

 こちらによると、ロシア代表団は投票をボイコットした。反対票はアルメニア代表団全員、トルコ、セビリア、フランス、ドイツ、フィンランドから複数、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、モルドヴァの各代表団から一票ずつ投じられた。
 プシコフ・ロシア代表団長は、これに抗議し、ロシアの代表団引き上げを宣言し、また、ロシア外交の政策・原則の早急な見直しを示唆した。

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私の記憶が確かなら、95年? あたりに、ロシアは第一次チェチェン紛争で欧州評議会から資格停止を食らっている。その際、平和的に解決したクリミアvs武力による解決のチェチェン、という対比がされ、ウクライナが漁夫の利的に評価を上げたものだった。90年代末からウクライナの民主化は急速に悪化するのだが・・・
 しかし、ロシアが言う人民共和国のロジックと日本が言っていた満州国のロジックはよく似ている。どちらも「民族自決権」を錦の御旗としているから当然といえば当然だが。


 
posted by 藤森信吉 at 00:08| Comment(0) | ロシア外務省ウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月28日

ロシア外務省、2014年を総括

 ロシア外務省HP上に2014年の出来事が掲載されているので、ウクライナ関係のみピックアップ。

・ウクライナ危機は、この四半世紀、ロシアの利害を無視して西側が自らの安全保障強化のために東方拡大してきた政策のクライマックスである。
・欧米は、露骨にキエフにおける反憲法的政権転覆とナショナリスト政権の軍事力による南・東部の社会経済的「窒息」を支持した。コストは数千の死傷者と数十万の避難民、そして社会経済インフラの喪失である。
・ロシアは早期停戦のために注力し、ミンスク議定書に帰結した。
・ロシアに対する一方的な制裁・情報戦争は事態の解決に寄与しない。
・2月のウクライナの政治的危機は、キエフにおけるナショナリスト勢力の武力国家転覆に至り、ウクライナ各地の激烈な反発を生み出した。3月にはクリミアでリファレンダムが行われ、住民はロシアへの編入を表明した。結果を受けて、国際法の規範と正当なクリミア議会の独立宣言にしたがってクリミアは編入要望をロシアに出した。クリミア、セヴァストーポリのロシア編入は、人民の意志を反映した歴史的正義の回復となった。

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 ロシア外務省が一貫して言い続けてきたロジックではあるが、改めて読むと、現地ソースゼロで書いた国際政治論文か、戦略系シンクタンクのエコノミストが書き上げたような薄っぺらな内容だ。勿論、政治家や国民に説明するためには単純な構図を見せなければいけないのだが。ロシアの対ウクライナ政策の失敗は、このような単純化された思考パターンにはまっているせいではないかと個人的には思っている。
posted by 藤森信吉 at 11:42| Comment(0) | ロシア外務省ウォッチ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする