2017年09月20日

ナフトガス、クリミア占領の損失でハーグ仲裁に提訴

 こちらによると、ナフトガス・ウクライナ社は、ロシアによるクリミア占領にともなう損害でハーグの常設仲裁裁判所に提訴した。
 ナフトガス社は、クリミ占領によってグループ企業が蒙った損失を50億ドルと試算し、提訴した。2018年末までに決定が出るとしている。2016年10月に、グループ企業はウクライナ・ロシア間の相互投資保護条約に基づく調停を Covington & Burling LLP 社を招いて行ってきた。同社はロシアやロシ国営企業に対する顧客利益の保護で豊富な経験を有しており、ユコスに対する600億ドル返還裁判にも関わってきた。
--------
 ロシア国営企業ではなく、ロシア政府に対する要求の模様。クリミア沿岸にはガス田もあったりするので50億ドルは安い気がするが、永久に占領されたというのではなく、いずれは戻ってくることを前提とした占領〜現時点の期間限定なのだろう。
posted by 藤森信吉 at 17:41| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月19日

ポロシェンコ「アメリカの兵器供給がロシアの侵略コストを引き上げる」

 ポロシェンコ大統領はアメリカを実務訪問し、West Pointで演説を行った。
 「残念なことに、ウクライナに最新兵器を供給する問題は、神話に影響されてアメリカで議論を引き起こしている。第一の神話は、アメリカの兵器供給に対抗するためにロシアがドンバスに兵器を送ることだ。しかしロシアは、兵器を常に送り続けている。第二に、アメリカの兵器は情勢を転換させないということだが、制裁と外交手段と併せることで、影響を与えるであろう。第三にアメリカの兵器供給は事態をエスカレーションさせるとのことだが、ロシアの侵略コストを高めることができる。モスクワは新たな侵略計画を考え直すであろう」と述べた。
 また、アメリカ側の決定で、ウクライナ兵士の犠牲がなくなる、と強調した。
-------
ロシアが供給する兵器がT72程度だから、アメリカもやる気 出ないよね。
posted by 藤森信吉 at 14:33| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月18日

ボルカー「ドンバスは内戦ではなく外部からの干渉」

 こちらによると、ボルカー・米国務省ウクライナ問題特別代表は「ドンバスは内戦ではなく、アメリカは人民共和国勢力と交渉はしない」と述べた。
 ボルカー氏は第14回ヤルタ・ヨーロッパ戦略会議(YES)において、「我々はアブハジアや南オセチアの現地勢力と交渉しない。ドンバス紛争は、独立したエスニック蜂起でもないし、内戦でもない。外部勢力がこのような事態を作り出すために現地民の一部を暗に利用している。ロシアは、自らの責任から逃れるために、我々が現地勢力と交渉することを望んでいるが、何も決められない連中と交渉して頓挫することを期待しているが、我々には戦略的決定が必要だ」と述べた。
------
 ロシアが、アメリカに対して人民共和国政府との直決交渉を求めていたとは初耳。
ボルカー氏は、ドンバスが解決されてもクリミアが未解決であれば対ロ制裁は解除されない、と言明しているので、ロシア的には、ドンバスから手を引くメリットは「援助負担の軽減」以外になくなってしまいましたね。
posted by 藤森信吉 at 12:37| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

IMF「ウクライナに改革頓挫のリスク」

 こちらにデビツト・リプトンIMF筆頭副専務理事のインタビュー記事が掲載されているので簡単に紹介。

 ウクライナは過去二年間、87億ドルのローンをIMFから供与されている。1994〜2013まで、ウクライナは5つのプログラムに関与してきたが、ウクライナ政権が責務を果たせず、何れも完了せずに終わっている。
Q ウクライナ経済の見通しは?
「世界経済は強く、回復は勢いを増している。ウクライナにも当てはまる。過去五年間、ウクライナは経済安定に非常に成功してきた。しかしウクライナはヨーロッパにキャッチアップするためにはより迅速な成長が必要で、改革に依存している。ウクライナの過去の歴史は、事態が安定すると、先に進むのを止めてしまう。常に改革が停止・妨害されいる。他の国では前に進んでいるが、ウクライナは後退している」

Q ウクライナのプログラム実施状況についてどう思うか。IMFは不満であるとのうわさもあるが。
「安定化についてはウクライナはよくやっているが、後退のリスクはある。公的部門および一部の民間部門ではインフレを上回る賃金上昇がみられる。この傾向が続くと利潤や国際競争力を消してしまい、3年前と同じことになる。また財政赤字をもたらし、安定を損なう。年金改革、汚職対策、財政・エネルギー部門改革が重要だ」

Q フロイスマン首相が10月1日からのガス値上げを否定したが、IMFはこれに賛成するか?
「価格決定が市場の進展にともなって自動的に形成されることで非政治化されることは重要で、ウクライナ政府がこれを貫くことを期待している。対象外の黙示的補助金は避けねばならない。ウクライナにおけるガス価格は、ヨーロッパ諸国と比べても安すぎる。

posted by 藤森信吉 at 12:16| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月16日

ボルトン「国連平和維持軍は紛争を凍結させるだけ」

 こちらによると、ボルトン・元アメリカ国連大使は、ドンバス占領地域への国連平和維持軍の導入はウクライナ的には誤りである、と述べた。
 キエフで開催されているヤルタ・ヨーロッパ戦略会議(YES)において、ボルトン氏は「ウクライナに平和維持軍があるべきだとは思わない。ウクライナの観点から誤りである。国連常任理事国であるロシアのウクライナ内政への関与を増すことになる」と述べた。
 ドンバス内戦を解決し、ロシアの侵略と戦うには、ウクライナの覚悟を示す必要があり、アメリカからの軍事支援を増やすべきである、との見解を述べた。 
 ロシアは国連安保理議長および事務総長に、ドンバス境界ラインに国連平和維持軍を展開する案を提出している。

-------
 マイケル・ボルトンはジム・スタインマンと並ぶ暑苦しい曲の巨匠。
posted by 藤森信吉 at 00:05| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月15日

ウクライナ版マーシャルプランで50億ユーロゲット

 こちらによると、ウクライナへのマーシャンプランで年50億ユーロがウクライナ経済に投資される可能性がある。
 「ウクライナへのマーシャルプラン」の共同立案者であるクビリュス・元リトアニア首相は「ウクライナおよび東方パートナーシップ諸国への新しいヨーロッパ投資案(ウクライナへのマーシャルプラン)」のプレゼンを行った。その中で、このプランは90年代のリトアニアの経済改革の経験が基礎となっており、「実体部門、インフラ、農業ビジネス、中小企業へのクレジット機構への投資プランであり、適切な改革テンポと社会および政治の意欲を維持する必要がある。リトアニアにとってはEU加盟への展望が意欲の源泉であった」と述べた。
 試算では年50億ユーロの投資で6-8%の経済成長をもたらす。ウクライナ・リトアニア両国の作業グループが案を策定中であり、11月の東方パートナーシップサミットで披露される予定である。
posted by 藤森信吉 at 08:05| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月13日

物議を醸す「教育法」

 ウクライナ最高会議は、5日、教育法を採択した。
 教育法は2027年から12年制を導入し、教員への給与引き上げを承認している。また、教育言語は、国家語であるが、いくつかの分野では英語、もしくはその他のEU諸国言語を加えた多言語教育も行われる。少数民族に属する子供は、国家語とともに母語による教育を受ける権利が保障されている。
 これに対し、モスカリ・ザカルパッチャ州知事は「EU地域言語憲章」やウクライナがモルドヴゥ、ルーマニア、ハンガリーと締結した条約に即していない、と批判した。
 また、ハンガリーおよびルーマニア外務省も本法を批判している。ハンガリー外務省は「ウクライナはハンガリー人が学校や大学において母語で教育を受ける権利を奪っている、幼稚園や小学校のみでしかその権利は残されていない」との声明を出した。
-------
 ロシアかベラルーシがEUに加盟すれば、ロシア語がEU公式言語になるので、ロシア語話者の権利も安泰。
posted by 藤森信吉 at 13:05| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月11日

ポロシェンコ「ウクライナは独自の正教会を持つ権利がある」

 ポロシェンコ大統領は「2017年のウクライナ内外政情勢」と題する議会教書の中で、ウクライナは独自の正教会を持つ権利がある、と主張した。
 大統領は、ウクライナにおける正教会に独立(autocephaly)教会の地位を与える要請書をコンスタンティノープル総主教に送ったことについて、議員に感謝の辞を述べると同時に自らも親書を送ったと述べた。大統領は、「1991年以来の課題であり、ウクライナは独自の正教会を持つ権利があり、それを守る権利がある」と強調した。同時に、ウクライナ自治正教会の承認は、国教の誕生や他の正教会を禁止することを意味しない、とした。「ウクライナ国家は教会と分離しているが、しかし他国が従属する教会組織を用いて地政学的目的を達成しようとしていることに受け身ではいられない」とした。
--------
このへんのお話は松里教授の論文に詳しく書かれているのでご一読をお勧めする。世界宗教は主権国家間の政治とは違う論理で動いており、国が独自の教会を持てる権利なんてものはない。
 ウクライナ正教キエフ主教座を正統化して欲しい、という要請だが、コンスタンティノープルはまあ受け入れないでしょう。しかし、ウクライナ正教モスクワ主教座=クレムリンの手先、と断言していいのかね。
posted by 藤森信吉 at 10:11| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月09日

ウクライナ、またまたデフレ

 ウクライナ統計局によると、8月の消費物価指数(商品およびサービス)は7月比でマイナス0.1%だった。
年始比でプラス8.1%、過去12か月比でプラス16.2%だった。
 食品、非アルコール飲料がマイナス0.6%で、野菜、フルーツ、穀物製品、魚製品が値を下げた。他方で、リンゴ、サーラ(笑)、食肉、乳製品、米、パン、油は値上がりした。
 服、靴は値下がり。公共料金は水道料金の値上がりが響き、0.3%増であった。輸送費は0.8%増で路面輸送費は1.6%増、燃料は0.5%増であった。デフレは2016年7月、8月にも記録している。
posted by 藤森信吉 at 12:51| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月08日

砂糖王国の復活

 こちらによると、ウクライナの砂糖輸出はソ連崩壊後、最高値を記録した。
 砂糖製造者協会ウクルツィクロによると、2016/2017年市場年(9月-8月)、ウクライナの砂糖輸出量は76万9300トン(前年同期比6.8倍)を記録した。ウクライナは国内市場に1万8300トンを供給、その他アゼルバイジャン7800トン、トルコ5200トン、ジョージア2500トン、モルドヴゥ1400トンと続く。
9月1日から新市場年が開始されたが、ウクライナは46工場で精製する計画である。これは前年より4増えている。協会の予測によると、50万が輸出される。
posted by 藤森信吉 at 11:27| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする