こちらにウクライナの人口問題が論じられているので紹介。
ウクライナ未来研究所が公表したデータによると、2023年5月時点のウクライナの住民は2900万人、内民間従業者は600-700万人(公務員除く、公務員込みで900万人)で残りの2200-2300万人を彼らが養う構造にある。移民の実態が掴めないため、ウクライナの人口は2800-3400万人と幅がある。人口動態の基本データは国勢調査であるが、ウクライナの最後の調査は2001年で、2001年12月5日時点で4845万7千人であった。その後、国勢調査は5回も延期され、今日に至っている。2030年1月1日の予測では、2400-3200万と幅がある。
2020年12月、ウクライナ政府は2019年12月1日時点の人口は3729万人と発表した。自然増減の速度を考慮すると、今日の人口は、移民を抜きにすると3630万人と計算できる。これに移民を算入すると、未来研究所の2900万人は理解可能な数字となる。
2021年の国家統計は労働人口を1500万人としていた。未来研究所の900万人はどう算出したのか不明だが、失業者の定義次第だろうか。移出入の数字もはっきりしない。国連UNCHRによれば、ウクライナからの難民は6月6日時点で628万人であった。内、ヨーロッパ滞在が593万人となっている。難民なのか一時的保護下にあるのか、という問題を考慮すると、難民数は495万人と修正される。また、国連は北米に10万人以上の難民がいるとしているが、ロシアにもウクライナからの難民が130万人おり、内10.36万人が亡命申請を出している。また、ベラルーシには2.77万人(内2800人が亡命申請)となっている。
よって、難民率は、国ごとに異なり、戦争終結後には46-80%が帰還すると予測されている。また、ウクライナに来ているボランティアや出稼ぎ労働者がウクライナ国民になることも考慮されていない。2900万人、という数字は戦略的な予測というよりは、トレンドを表すものと考えてよい。
2023年07月03日
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