こちらにスヴィリジェンコ・ウクライナ第一副首相兼経済相のプレゼンの要旨が掲載されているので、数字のみ紹介。
・GDP
Q2で37.2%のマイナス。Q3は減少が落ち着いたが、10月のエネルギーインフラに対する大規模攻撃により、予測は見直されている。政府は年35-37%の下落を予測している。
・失業率
コロナ時には約10%だが、28-30%以上となっている。250-260万人が失業者がいるが、国外にいて帰国しない者も含めると460万人に達する。
・インフレ率
30%
・輸出
Q2で輸出量は前年同期比56%。穀物合意により輸出環境は劇的に改善されている。しかし貿易不均衡が拡大している。10月期には輸出量の76%、輸出額の65%は農業品で占められている。
・歳入
50%が国際パートナーの財政支援である。しかし、国内ビジネス活動の活発化で、歳入拡大が見込まれる。
・現在、重要産業で働く81万4千人が応召の猶予を受けている。
・国家発注のうち、85%が競争入札なしの直接契約である。7月以降、ProZorroを通じた競争入札に回帰している。
2022年12月09日
2022年12月06日
モルドヴァの電力危機は去ったのか
こちらにドニエストル両岸の電力問題が論じられているので簡単に紹介。
*沿ドニエストルの国営通信社の記事です。ベラルーシのVPNを通すとアクセスできるようです。
ガス問題の妥結と沿ドニエストル電力のモルドヴァ市場への供給は、両岸にとって大きなニュースである。モルドヴァ国家地区発電所(Молдавская ГРЭС)は通常の稼働状態に戻り、11月のブラックアウトの再来はなくなった。
12/3のモルドヴァEnergocom社との電力契約によれは、1Mwh当たり73ドルで10月より17%高いが、11月にモルドヴァが購入していたルーマニアやヨーロッパの電力(180ユーロ、ピーク時は450ユーロ)よりは遥かに安い。
モルドヴァへの電力輸出は沿ドニエストルへのガス供給問題の解決とパラレルである。12月、沿ドニエストルはガスプロムから全量(570万m3/日)受け取れることになった。これにより、電力輸出だけでなく、域内において、全日お湯供給、トローリーバスの通常運行が可能となった。また、エネルギーを消費するモルドヴァ冶金工場、リブニツッツァのセメント工場が操業を再開した。
ガス問題を振り返ってみよう。10月、モルドヴァと沿ドニエストル向けのガス供給が570万m3に縮小された。ガスプロムは、ナフトガス社が全量の輸送を拒否しているため、と説明した。真の理由は別である。すなわち、モルドヴァガス社が支払い日程を遅らせたこと、そして外部監査の未実施である。10月21日、沿ドニエストルはガス不足により経済非常事態宣言を行い、暖房シーズン入りを遅らせた。11月はさらに悪化する恐れがあったが、モルドヴァ・ガスプロム契約内でガス390万m3/日を確保できた。しかしながら、モルドヴァ側の背信行為により、40%減の230万m3しか供給されなかった。沿ドニエストルは当初よりガス抜き取り、あるいは、一部がウクライナ領内で留め置かれていることを指摘してきた。このことは11月22日にガスプロム社が確認しており、その後、ナフトガス社は、モルドヴァ側が行ったバーチャル・リバースの過程で、ウクライナ領内にガスが留まっている、と公表した。
沿ドニエストルのガス不足は、11月の電力契約未締結につながり、モルドヴァはルーマニアとEUからの電力供給に迫られたが、価格の問題が出てきた。直近だけでもモルドヴァの電力料金は2倍になり、長期的にモルドヴァの消費者が耐えられないことが明白になってきた。そして、ウクライナでの戦闘行為により、ルーマニア電力だけでく安定を担保できないことが分かった。結果、両岸では11月にブロックアウトが二度も起きた。仮にモルドヴァ国家地区発電所がフル稼働しなければ、三度目のブロックアウトが生じたであろう。
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沿ドニエストル側の解釈。モルドヴァガスとガスプロムの契約で沿ドニエストルはどのように規定されているのか、契約書の一部がネット上に出ているので読んでみたが、良くわからない。モルドヴァガスへ供給量は契約内で決まっているが、仮にガスプロムが減らした場合、沿ドニエストル枠を最優先で確保しなければならないのか(沿ドニエストル側の主張)、あるいは両岸とも同率で減らすのか、モルドヴァ枠を最優先するのか、よく分からない。今回の12月の一件は、ガスプロムと沿ドニエストルの言い分が貫徹。
*沿ドニエストルの国営通信社の記事です。ベラルーシのVPNを通すとアクセスできるようです。
ガス問題の妥結と沿ドニエストル電力のモルドヴァ市場への供給は、両岸にとって大きなニュースである。モルドヴァ国家地区発電所(Молдавская ГРЭС)は通常の稼働状態に戻り、11月のブラックアウトの再来はなくなった。
12/3のモルドヴァEnergocom社との電力契約によれは、1Mwh当たり73ドルで10月より17%高いが、11月にモルドヴァが購入していたルーマニアやヨーロッパの電力(180ユーロ、ピーク時は450ユーロ)よりは遥かに安い。
モルドヴァへの電力輸出は沿ドニエストルへのガス供給問題の解決とパラレルである。12月、沿ドニエストルはガスプロムから全量(570万m3/日)受け取れることになった。これにより、電力輸出だけでなく、域内において、全日お湯供給、トローリーバスの通常運行が可能となった。また、エネルギーを消費するモルドヴァ冶金工場、リブニツッツァのセメント工場が操業を再開した。
ガス問題を振り返ってみよう。10月、モルドヴァと沿ドニエストル向けのガス供給が570万m3に縮小された。ガスプロムは、ナフトガス社が全量の輸送を拒否しているため、と説明した。真の理由は別である。すなわち、モルドヴァガス社が支払い日程を遅らせたこと、そして外部監査の未実施である。10月21日、沿ドニエストルはガス不足により経済非常事態宣言を行い、暖房シーズン入りを遅らせた。11月はさらに悪化する恐れがあったが、モルドヴァ・ガスプロム契約内でガス390万m3/日を確保できた。しかしながら、モルドヴァ側の背信行為により、40%減の230万m3しか供給されなかった。沿ドニエストルは当初よりガス抜き取り、あるいは、一部がウクライナ領内で留め置かれていることを指摘してきた。このことは11月22日にガスプロム社が確認しており、その後、ナフトガス社は、モルドヴァ側が行ったバーチャル・リバースの過程で、ウクライナ領内にガスが留まっている、と公表した。
沿ドニエストルのガス不足は、11月の電力契約未締結につながり、モルドヴァはルーマニアとEUからの電力供給に迫られたが、価格の問題が出てきた。直近だけでもモルドヴァの電力料金は2倍になり、長期的にモルドヴァの消費者が耐えられないことが明白になってきた。そして、ウクライナでの戦闘行為により、ルーマニア電力だけでく安定を担保できないことが分かった。結果、両岸では11月にブロックアウトが二度も起きた。仮にモルドヴァ国家地区発電所がフル稼働しなければ、三度目のブロックアウトが生じたであろう。
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沿ドニエストル側の解釈。モルドヴァガスとガスプロムの契約で沿ドニエストルはどのように規定されているのか、契約書の一部がネット上に出ているので読んでみたが、良くわからない。モルドヴァガスへ供給量は契約内で決まっているが、仮にガスプロムが減らした場合、沿ドニエストル枠を最優先で確保しなければならないのか(沿ドニエストル側の主張)、あるいは両岸とも同率で減らすのか、モルドヴァ枠を最優先するのか、よく分からない。今回の12月の一件は、ガスプロムと沿ドニエストルの言い分が貫徹。