2022年04月30日

ガスプロム、5月はモルドヴァにガス供給継続

 こちらによると、モルドヴァは5月、ガスプロムからガスを供給される。
 チェバン・モルドヴァガス社長は「ガスプロム社は公式に契約にそったガス量を供給することを確約した。過去の債務の監査期間の延長については何も指示を受けていない」と記した。モルドヴァは1億6300万m3を受領するが、内1億3100万m3は沿ドニエストル分である。輸送ルートはこれまでと同じで、価格は910ドル/1000m3である。
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 ドル建てかルーブル建てか不明。910ドルはEUハブ価格から2割安程度か? しかし、一か月間限定で相手の反応を縛るあたりが実に嫌らしい。
一方で、沿ドニエストル側からのウクライナ侵攻はどうなるのか。
侵攻する→ウクライナがガス輸送を停止→沿ドニエストル経済は一瞬で干上がる→モルドヴァも短期で干上がる ??
posted by 藤森信吉 at 00:28| Comment(0) | モルドヴァ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月29日

5/1以降、モルドヴァのガス事情はどうなるのか

 こちらに、5/1以降の予測記事が掲載されているので紹介。
 5/1以降、ガスプロムによるガス供給が脅威にされさており、政府は様々なシナリオを検討している。2011年10月のガスプロム・モルドヴァガス社契約で、ガス債務を外部監査で精査し、5/1までに債務返還契約を結ぶ、という条項があったが、2月24日の開戦により応札する法律事務所を見つけることは不可能となった。一方で、モルドヴァはヨーロッパ諸国の中でも、最悪の22.2%(2022年3月、年換算)を記録しており、ガス消費価格は131%アップであり、エネルギー危機はさらなるインフレを招く。
1. ガスプロムの供給が停止された場合、モルドヴァは国際市場から購入する用意があるが、価格は上昇する。国内ガス料金は6月1日以降、引き上げられる可能性がある。モルドヴァはガスプロムと長期契約している国の中で最も高い料金を支払っている。4月は1160ドル/1000m3でスポットの1350-1500ドルに近づいている。国家予算で1.5億ユーロを計上してルーマニア領内に冬季用のガス備蓄に充てている。また、ロシアからのガス供給問題が生じた際、ウクライナ、モルドヴァにEUからリバース供給する計画をEUは策定済であり、モルドヴァは2月にワシントンで調印している。
2. 可能性がある案としては、備蓄能力が大きいルーマニアからガスを受けるものがある。また、ルーマニアは代替供給源から輸送を担う役割もある。モルドヴァはルーマニアに1853万m3のガスが備蓄しており、モルドヴァの消費量の5-7日分にあたる。
3.ガスプロムが供給停止した際にモルドヴァがロシア・ガスを代替できる可能性は限定的である。そもそもモスクワとキシナウ間の公式レベルでの定期的な対話がない状態では、ガス供給の停止はいつでも生じる。危機脱出に最も良いのはロシアとの交渉の継続である。Moody'sは、モルドヴァがロシアガスを拒否して代替供給源を見つけられることに疑問を呈している。
4. モルドヴァがエネルギー安保のために供給源多元化策を決定しており、ルーマニアにおけるガスパイプラインの完工も挙げられている。また、EUとの間で電力送電網の同期も行われ、EUから直接電力を輸入することが可能となった。しかし、モルドヴァがロシアガスを完全に代替できるかは不確定である。また、戦争により、パイプライン損傷の危険性に晒されている。トルコ、ルーマニア、アゼルバイジャンから輸入するとしても、ロシアの供給量に匹敵するレベルには達しない。
5. ルーマニア・パイプラインからのガス輸入は15億m3/年であり、モルドヴァと沿ドニエストルを足した需要は30億m3である。半分しか代替できない。
6. モルドヴァはガス輸送国ではないため、ウクライナのようなバーチャル・リバース輸入ができない。
7.  モスクワは沿ドニエストルへのガス供給制限を意図していないが、沿ドニエストル供給分はモルドヴァガスの契約によるものであり、個別契約ではない。ガスプロムは沿ドニエストルに直接供給できない。ロシアとの交渉内でこれが重要な要素となる。
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 このインフレ率急上昇はすごいな。クレムリンは、天然ガスとドドン社会党とちょっとしたマス動員で、簡単に切り崩せそうだ。

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2022年04月28日

モルドヴァ、電気料金値上げ不可避

こちらによると、モルドヴァ国家地区発電所( МолдГРЭС、沿ドニエストルの発電所)の応札額は96ドル/MWh以上であった。
 サンドゥ・モルドヴァ大統領は、テレビ局とのインタビューにおいて「電力入札において、どの企業も高値を提示し、好適な提案はなかった、と述べた。二社から96ドル/WMhを下回らない額が提示されたが、選択肢は小さく、価格が問題となっている。ウクライナ企業からの輸入も協議したが、現在の価格の2倍を提示してきた。現況では、モルドヴァはルーマニアとの相互接続は行えず、電力供給で困難に直面している。МолдГРЭСはモルドヴァの足元を見て、利益を確保しようとしている」と指摘した。
 既にスルサリ前議員は、自らの情報源としてМолдГРЭСとキプロスが運営するウクライナ法人間の疑わしい取引を明らかにしていた。同氏によるとМолдГРЭС価格は96.7ドル/MWhを、そしてオフショア企業は96ドルを提示しているという。
 これ以前に、スプヌゥ・インフラ担当相は「ガスプロムが5月1日以降のガス供給を停止した場合、МолдГРЭСはモルドヴァ側に電力輸出できなくなる。現在、モルドヴァはМолдГРЭС社の電力を購入することは可能だが、より高額となる。足りない部分は、ウクライナで購入する計画がある。4月初、モルドヴァはМолдГРЭС社と76ドル/MWhで合意したが、これは必要量の70%しか供給できない。現在のМолдГРЭС供給価格は53.5ドル/MWhである。
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足りない30%分の入札のようだ。いずれにしても、供給価格は値上げされ、電気料金に転嫁されなければならない。住民向けガス代、電気料金が値上げされるとサンドゥの支持率は落ち、ドドン(プーチンの犬)が盛り返す。ドドン一派は戦勝記念日では聖ゲオルグ・リボンをつけて行進することを計画中。
posted by 藤森信吉 at 21:08| Comment(0) | モルドヴァ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月27日

ねんがんのENTSO-E加盟

 こちらによると、ウクライナのウクルエネルゴ社がENTSO-Eオブザーバー資格を付与された。
 ワルシャワにおいて欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)は、ウクライナ国営ウクルエネルゴ社にオブザーバー資格を付与した。
ウクライナ・エネルギー相によると「この合意でウクライナはヨーロッパのエネルギー市場との完全なる統合にさらに近付き、我々の将来的な発展が約柵された。ウクライナの加盟は互恵的である」と述べた。
 カドリ・シムソン・エネルギー担当欧州委員、ENTSO-E関係者、ウクルエネルゴ社代表、ポーランドの送電公社PSE関係者らが式典に参加した。オブザーバー資格によるウクルエネルゴ社はENTSO-Eの会議に参加、専門家グループの作業部会にも参加できる。
 ウクライナは3月16日にエネルギーEUともいえべき、ヨーロッパ送電システムに接続しており、ウクライナ・ベラルーシ、ロシア間の電力のオーバーフローは不可能となるった。2022年末までにウクライナは同システムに接続される予定であったが、ウクライナは単独体制を経て、開戦により、ロシア側と接続することが無理になった。3月末にはウクライナはEUへの電力輸出を再開している。
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悪名高きロスウクルエネルゴと名称は似てますが、ウクルエネルゴはウクライナの送電公社。
posted by 藤森信吉 at 18:04| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

沿ドニエストル大統領、平和を訴える

 こちらによると、沿ドニエストル大統領は国民に向けた演説内で、テロ攻撃で紛争に引き込まれることはない、と述べた。
 クラスノセリスキー大統領は国民に向けた声明を出した。
「1992年の停戦以来、沿ドニエストルはテロ攻撃の対象となっており、25、26、27日はテロ攻撃である、捜査は、ウクライナにつながっていることを示している。ウクライナでの軍事活動が開始された後、沿ドニエストルは中立を守り、侵略者ではなく、諸隣国を攻撃する計画は過去も現在もない、と言明してきた。また、避難民を受け入れてきた。この攻撃を計画し、沿ドニエストルを紛争に引き込もうとする者に対しては、うまくいかない、沿ドニエストルは自らを防衛できる、と確信を持って言いたい。
 大統領令で、全域において、テロ脅威に対する領土保全レッド体制を導入した。この措置で社会秩序と社会の安全を守ることができる。住民諸君に対しては、諸君の生命と健康と沿ドニエストルを守るために必要なこの措置を理解して欲しい。
 ウクライナ指導部に対しては、戦闘集団の違法な移動と沿ドニエストル領内におけるテロ活動の命令という事実を捜査して欲しい。また、モルドヴァの指導部は、挑発行為を止め、モルドヴァを沿ドニエストル侵略に引き込まないで欲しい。沿ドニエストルは二国間問題の解決は、侵略によるものでなく、平和的な紛争解決フォーマット、すなわち1+1、5+2 を重要だと理解している。何よりも我々は平和、平和維持で合意しなければならない。
 沿ドニエストル国民は、パニックにならず、フェイクニュース、噂、ゴシップ、あてこすりの類に耳を傾けないで欲しい。我々は沿ドニエストルの平和を守り、このテロ攻撃の下手人を見つけ出し、責任を取らせる。

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沿ドニエストルの苦悩が伝わってくる。「(誰だか知らないけど)沿ドニエストルを戦争に巻き込むなよ」。боевых действий в Украине とかмирは今のロシアでは禁止用語。クレムリンは「生ぬるい」と怒らないのか。
posted by 藤森信吉 at 00:56| Comment(0) | 沿ドニエストル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月26日

ウクライナ「沿ドニエストル内の内務省ビル攻撃はFSBの仕業」

ウクライナ国防省情報総局は、沿ドニエストル内で起きた爆発事件はロシアのFSBによる計画された挑発行為である、と発表した。
 沿ドニエストルの「安全保障省」とFSB沿ドニエストル支部が入る建物で爆発があり、建物と窓が損壊したが、これは近くの建物からRPG-22もしくは27で攻撃されたものである。しかしながら、沿ドニエストル指導部にとっては予想内である。22日に沿ドニエストル国家非常事態委員会書紀がカメンスキー地区代表に宛てて「早急に警護スべき市内のリストを送るよう、」申し入れていた。
 FSBが、域内のパニックと反ウクライナ感情を煽ることを目的とした挑発行為であることは明白であり、ウクライナ戦争と沿ドニエストルを戦争に引き込むことを正当化しようとするものである。域内にはウクライナ領を攻撃できる動員資源と部隊がある。入手した情報によれば、FSBは沿ドニエストル内で一連のテロ行為を継続しようとしている。

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27日は休日なので建物内には人はいなかったとのこと。現時点で沿ドニエストル当局は「捜査中」以外のコメントなし。巻き込まれたくない沿ドニエストル。

追記)26日朝に沿ドニエストル内のロシア・ラジオ中継塔が爆破されて倒壊。
https://mvdpmr.org/kriminalnie-novosti/37731-vzryvy-v-posjolke-mayak.html
 
posted by 藤森信吉 at 11:51| Comment(0) | 沿ドニエストル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月25日

IMF「避難民は季節労働者として有効」

 こちらによると、IMFは、ウクライナの避難民は、ヨーロッパの労働力不足解消に寄与する、と述べた。
 アルフレッド・カマー欧州局長は、VOAのインタビューに答え、「ウクライナの避難民を、例えばポーランドは受け入れており、GDPの0.5-1.0%が充てられている。ポーランドの国家予算だけでなく、不動産市場にも影響を与えている。避難民は長期的には帰還することを望んでおり、早ければ早いほど良い。しかしながら、何割かは長期的に国外にとどまることになり、これはヨーロッパの労働力不足解消という意味では肯定的である」と述べた。
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 ウクライナ人出稼ぎは、EU労働市場の底辺を埋めていたが、戦争で男性は国外に出れず。開戦前に国外で出ていた男性で、戦うために帰国した割合はどれくらいか分からないが、今日の避難民(女性と老人限定だけど)がその差を埋める、ということになるのか。
posted by 藤森信吉 at 12:44| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月23日

沿ドニエストル、「沿ドニエストル回廊」発言にノーコメント

こちらによると、モルドヴァ外務省は、ロシア軍将軍の発言に対する非難声明を出した。
 モルドヴァ外務・ヨーロッパ統合省は、在モルドヴァ・ロシア大使を呼び出し、ロシア国防省の代表者による発言に対する深い懸念を表明した。また、この発言は根拠がなく、またモルドヴァの領土保全と国際的に承認された国境を支持するというロシア連邦の立場と矛盾する、と言明した。また、モルドヴァは、中立国であるという憲法条項に準じており、この原則はロシア連邦を含む国際社会アクターから尊重されなければならない、と述べた。
 また、沿ドニエストル外務省は、モルドヴァメディアの問い合わせに対し「本件に関するコメントをする理由はない」と述べた。
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 沿ドニエストル外交を誰が仕切っているのか分からないが、非常に慎重というか賢明。ウクライナ戦争だけでなく人民共和国の国家承認に対するコメントすら出していない。さすが、ウクライナとモルドヴァに挟まれて30年間も存続してきた経験は伊達ではない。
posted by 藤森信吉 at 11:30| Comment(0) | 沿ドニエストル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月22日

モルドヴァ世論、鈴木宗男だった

モルドヴァの世論調査機関imas社が4月の世論調査結果を公開したので、簡単に紹介。
・2022年4月4-18日、1109名、33名の調査員による家庭訪問インタビュー、ルーマニア語およびロシア語
・今、最も憂慮すべき問題は
物価上昇28.0%、給与・年金17.3%、ウクライナにおける戦争14.7%、国の経済情勢8.5%、将来の不安8.2%、行政の不効率7.2% 以下略
・ウクライナで今起きていることは
ロシアがウクライナに対し戦争を開始した52%、ロシアが特別軍事作戦を開始し、ウクライナの解放・非ナチ化を行っている33%、回答なし・回答困難15%
・ロシア人とウクライナ人は違う人民か 違う44%、違う人民ではない55%
・「ソ連解体は歴史的に不正義でありソ連復活は良いことである」 賛成41% 反対53%
・ウクライナで開戦に至ったのは誰のせいか
プーチン/ロシア連邦41.6%、NATO/西側/ゼレンシキー 43.6%、両者7.5%
・どの考えが最もあなたの考えに近いか
EU/NATO諸国が対ロ戦闘に介入 11%、EU/NATO諸国はウクライナの防衛のために武器供与36%、何もしない不干渉46%
・モルドヴァは対ロ制裁に加わるべきか 加わるべき24%、加わらない72%
・ロシア軍にモリドヴァを侵略される怖れを抱いているか 抱いている59%、ない40%
・現況下、モルドヴァは次期にどこからガスを輸入すべきか ロシア63%、たとえ高くなってもEUその他の供給源から31%
・週末に投票が合った場合の投票先は(選挙に行く、と回答した層)
PAS 38.7%、共産党-社会党ブロック36.5%、ショール党14.7% 以下略
・モルドヴァの外交政策は
 親ヨーロッパ30%、親ロシア16%、ロシア・ヨーロッパ間のバランス43%、ローマニア合同7%
・モルドヴァのEU加盟国民投票について  賛成票を投じる56%、反対票を投じる28%
・モルドヴァのユーラシア経済共同体加盟について 賛成票43%、反対票36%
・ルーマニア・モルドヴァ合同  賛成票36%、反対票61%
・NATO加盟 賛成票24%、反対票61%
・沿ドニエストル問題の解決策は
特別地位を付与してモルドヴァに再統合29%、ガガウスと同様の自治権を付与して再統合19%、モルドヴァ連邦化4%、独立させる8%、ロシアの一部になる7%、現状を続ける24%
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世論は親ウ・反ロに振れていないようだ。NATO加盟も賛成率は伸びていない。そしてプーチンの犬たるドドン社会党の支持率も盛り返している。プーチン、ルカシェンコ、ゼレンシキーの人気はほぼ同じくらい。ウクライナから大量の難民が雪崩込んでいるので、戦争の実態みたいなものは肌で感じられると思うのだが・・・

posted by 藤森信吉 at 12:31| Comment(0) | 世論調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月21日

ウクライナ、戦時国債売りまくり

 こちらによると、ウクライナ財務省は、19日のオークションで、戦時国内債で35億フリブナ相当を調達したことを明らかにした。
フリブナ建て6か月国債(10%)が1億600万フリブナ、1.3年国債(11%)が5100万フリブナ、ドル建て1年国債(3.7%)が8200万ドル、ユーロ建て8か月国債(2.5%)が3300万ユーロとなっている。
 ウクライナ財務省は既に17回の戦時国債オークションを行っており、366億フリブナ、9500万ドル、1億7640万ユーロを国庫に納めている。
国債
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ロシアも戦時国債出しているのかな? Z信者はもちろんロシア戦時国債を購入だよね。愛国心、それは金額。
posted by 藤森信吉 at 21:18| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月20日

例の切手、バカ売れで販売制限

 こちらによると、ウクライナ郵便は、「ロシア艦船、Fu**(Русский военный корабль иди на…уй)」切手の販売を制限した。
 買い手が殺到しており、投機対象となることを避けるためである。18日から、切手販売は、一人当たり、5シート(1シート6枚)に制限される。ウクライナ郵便は、ネット上の38000枚の予約を全てキャンセルしている。一つのアドレスからの多数の申込みは今後、ブロックされることになる。対策を施して近日中に新しいネットショップがオープンする。今日時点で、第一刷100万枚のうち、50%が売られている。増刷は行われない。
moskva
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 第二弾は、モスクワ撃沈かな? 
posted by 藤森信吉 at 08:14| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月19日

ウクライナ、モルドヴァのロシアガス輸入を批判

こちらによると、ウクライナはモルドヴァのロシアからのガス輸入を批判した。
 ベレシチウク・一時的被占領地域再統合問題担当副首相は、「モルドヴァ当局は戦争を『戦争』と堂々と呼称していない。ロシアのガスには我々の子供たちの血が含まれている。モルドヴァは、矢面に立たされているウクライナ、暴力を受けている女性、身障者となった子供に背を向けていて、EU加盟を申請し、経済的な利益を受けようとしている。これは民主的モルドヴァの新しい顔を示す上でもモルドヴァ大統領のウクライナ支持は重要だ」と述べた。
 これに対し、モルドヴァ大統領府の広報部は「モルドヴァは初日からロシアの侵攻を批判し、ブチャや他地域における出来事を戦争犯罪と呼称している。モルドヴァはロシア侵攻非難決議の共同発議国でもあり、国際的な金融制裁にも準じている」とコメントしている。
posted by 藤森信吉 at 12:24| Comment(0) | モルドヴァ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月18日

MMZ、操業停止

こちらによると、沿ドニエストルの冶金工場は4月1日から操業停止を余儀なくされている。
沿ドニエストルの最重要産業の一つであるモルドヴァ冶金工場(MMZ)は、モルドヴァ側の封鎖を受け続けている。11月以来、EUは屑鉄輸出を禁止、2月からはモルドヴァ側の封鎖により原材料輸入が完全にストップした。モルドヴァ側は、工場にモルドヴァ環境監督当局の証明書がないことを理由にしているが、既にこの件は別文書で完了している。
 ウクライナからの屑鉄輸入も不可能だ。2019年にウクライナは自国鉄鋼産業の競争力を維持するため屑鉄に輸出関税をかけた。さらに今は、沿ドニエストル・ウクライナ境界は完全に閉じられてしまい、モルドヴァ側からしか輸入することができない。2月〜3月は備蓄した屑鉄で操業できたが、払底してしまい、4月には操業を停止している。従業員は、工場の改修や地域の慈善事業に従事している。しかしながら、そのような勤務状態では、ほとんどの従業員の給与は引き下げられることになり、納税額も下がり、地域経済だけでなく、共和国全体に悪影響が出る。
EUは既に禁輸を解除しているが、原材料の輸入はモルドヴァ側に阻まれている。モルドヴァ環境監督局委員会は既にMMZに調査に来ており、「如何なる重大な違反はない、勧告があるくらい」と言われたが、屑鉄輸入許可はまだ受けていない。通常稼働に戻らない場合、モルドヴァの輸送業者、建設業界に影響が出る。

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沿ドニエストルの2大産業(工業生産、輸出の6-7割を稼ぐ)のうち、冶金工場(MMZ)はこの有様。火力発電所(MGRES)は5月以降の操業が未定。どっちも止まると沿ドニエストル経済は即死します。ロシアで喩えると原油・天然ガスの輸出が完全に止まるようなもの。ただし、沿ドニエストルはロシアのような蓄えは全くないです。
posted by 藤森信吉 at 11:36| Comment(0) | 沿ドニエストル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月17日

戦時下で経済生活はどうなっているか

こちらに戦時下におけるビジネス状況がまとめられているので簡単に紹介。
・世銀によると、2022年のウクライナGDP成長率は戦争の影響でマイナス45%となる。ロシア軍の侵攻により、ビジネスの半分は機能せず、黒海封鎖によってウクライナ輸出の半分が止まってしまう。「ロシアのツケ」プロジェクトの試算では、戦争によるウクライナ経済の損失は804億ドルである。内、産業の損失は625億ドルで冶金、コークス、精油所の損失が大きい。経済省の試算では、直接・間接(GDP低下、直接投資の減少、労働力の流出、国防予算、社会保障の増大)は5640-6000億ドルとなる。
・政府の刺激策
 大統領は、戦闘のない地域では即座に企業活動を再開するよう、呼びかけた。ウクライナ最高会議は、戦時下における税改革法を採択し、法人税を簡素化した。また、税監査も停止された。物品税、燃料税も廃止され、燃料のVATは20から7%に引き下げられた。既に輸入品に対する関税、VATは免除されており、また個人輸入の車両に対する関税も廃止されている。
 政府は企業の疎開、工場移転の支援策も打ち出している。4月8日時点で1500社が移転を申請し、471社が移転中であり、220社が移転完了、90社が完全稼働している。DETEK傘下の製造機械会社は生産能力の一部をフメリツィキーとヴォリンに移転させ、一部の製品は既に生産を開始されている。4月6日に世論調査会社レイティング社が公表した調査結果では、回答者の58%が仕事に戻ったという。3月の調査では46%であった。
・IT産業
戦争前、IT市場はウクライナGDPの6%を叩き出していた。IT従業者の大半は激戦地に住んでいた。キィウ(44%)、ハルキフ(14%)等など。IT企業は数万人の従業員の疎開を組織を迫られている。ハルキフ、チェルニヒウ、キエフのIT従業者の8割は疎開している。しかしながら、IT従業者の多くはもともとリモートで働いているため、大きな打撃とはなっていない。また、ウクライナのIT産業は輸出志向でありため、需要は高く、IT企業の85%は通常の業務を続けている。国内市場向けのIT企業は大打撃を受けており、半分が業務を停止している。
・小売
 戦争で多くの小売店が破壊され、大損害を被った。Foxtrot社は10億フリブナの損害を受けた。同社のホストメル倉庫は炎上し、8支店が砲撃で破壊された。しかしながら、いくつかの小売チェーンはキィウ、ハリキウ、スゥミ、ミコラエウといった主要都市で業務を再開している。また、ウクライナ北部からのロシア軍撤退で同地でも業務が再開されている。
フィリップ・モリス社は開戦当日にハルキフ工場の操業を停止、キィウのロジスティック・センターを閉鎖したが、稼働を再開し、納税を続け、従業員を雇用し続けている。 
・農業
 戦争にもかかわらず、被占領地域でさえ、日程通り播種が開始されている。2022年の播種の不足はないが、肥料、燃料の高騰問題がある。政府は農家向け特別融資(6ヶ月、ゼロ金利)を打ち出している。農業第一次官によると、戦争により、ウクライナは作物の3割、500万ha相当、50-70億ドルを失うことになる。毎年、2800万haを播種しているが、今年は350万haの土地が播種不可能となっている。昨年度、ウクライナは1億トンという記録的収穫を行ったが、今年度は7000万は収穫できそうであり、ウクライナの需要をカバーするだけでなく輸出も可能である。また、主たる貯蔵庫、輸送インフラは、ウクライナ側がコントロールしており、穀物輸出もルーマニア経由でコンスタンツァ港、ポーランド経由でグダンスク港・グディニャ港、あるいはオランダのロッテルダム、アムステルダム港から輸出されている。
・建設業
 建設業界は回復が見込まれている。戦争により数十万人が家屋を失い、政府が彼らのための住宅建設を開始している。大統領オフィスによると、3-4ヶ月以内に10地域が選出され建設がはじまる。また、未完成の物件の政府による買い上げ、改修も計画されている。
 

 
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2022年04月16日

年金受取率、悪化

 こちらによると4月の年金支給率は60.2%だった。
 ウクライナ年金基金によると、4月14日時点で、ウクライナ郵便および委託銀行に322億フリブナを入金済である。うち86億フリブナはウクライナ郵便、236億フリブナは委託銀行である。銀行は100%支給済であるが、ウクライナ郵便の支給率は60.2%である。ヘルソン州では3月分の支給も継続されている。居住地変更に伴い、4407名がウクライナ郵便の別支店での受け取りを申請、5562名が預金銀行(オシチャド銀行)のMY Transferを通じた国外送金を申請している。
 年金基金によると、3月分の銀行経由の支給率は99.99%、ウクライナ郵便の支給率は77.91%であった。
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 年金受給層のかなりはウクライナ金融機関にアクセスできる地域にいる、ということか。
そのうち、ロシアが占領地で文字通りのヘリコプターマネーでプーチンの肖像入り軍票でもばら撒くんじゃないのか
posted by 藤森信吉 at 18:02| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月15日

モルドヴァ、5月以降に電気料金超絶値上げも

こちらによると、モルドヴァ政府は5月以降の電力供給の入札を開始した。
 非常事態委員会の決定により、Energocom社が4月22日締めの入札期間で、モルドヴァへの電力供給の入札を実施する。5月1日から6月30日までの供給期間であり、入札価格が最低だった者が落札となる。一社のみが応札の場合、価格は直接交渉となる。末端消費者の電気料金は5%引き上げられることになる。右岸のモルドヴァ国家地区発電所(МолдГРЭС)との契約は4月中の一ヶ月のみであり、5月1日以降については、モルドヴァのガス供給問題が未解決であるため、契約は延長されていない。トフィラト前エネルギー問題担当大統領補佐官によると、モルドヴァはルーマニア、ウクライナから電力を受けられる可能性がある。その場合、価格は上昇する。ルーマニアは200ドル/MW、ウクライナは75ドルで、МолдГРЭСの53.5ドルに比べて高額である。
posted by 藤森信吉 at 14:10| Comment(0) | モルドヴァ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月13日

沿ドニエストル、ファシズムからの解放78周年

 こちらによると、沿ドニエストル各地で、ファシズム解放78周年式典が開かれた。
 1944年4月12日に、ティラスポリ、ドゥバッサーリ、グリゴリオポリ、がドイツ-ルーマニアの占領から解放されたことを記念する式典が沿ドニエストル各地で開かれた。クラスノセリスキー大統領は、ナチズムとファシズムを称賛することは人道に対する罪である、聖ゲオログ・リボンや大祖国戦争の賞賛を損なうとする者たちによってナチズム、ファシズムの理念は存続している、また、モルドヴァはEU加盟を求めており、申請しているが、諸基準・原則に従う必要がある。その一つが聖ゲオルグ・リボンの禁止であり、また大祖国戦争の上映禁止も含まれている。特定のアルゴリズムに沿っている、と述べた。
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ここへ来てロシアのプロパガンダのロジックを使い始めたか・・・・
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2022年04月12日

モルドヴァの4月のガス購入価格は1193ドル/1000m3

 こちらによると、4月のガスプロム社のモルドヴァへの供給価格は1193ドル/1000m3となる。
 3月の購入価格は547ドルで、倍加したが、チェバン・モルドヴァガス社長は「モルドヴァガス社は国家エネルギー規制委員会に対し、ガス料金値上げを申請する予定はない。好天候により、ガス購入量を半分まで減らすことでガスプロムと合意している。4月20日までは、使用分は3月のガスで決済できる」とテレグラムに記している。また、チェバン氏によると、4月末にモルドヴァガス社はガス料金値上げについて検討するが、これはガスプロムとの5月1日以降の契約に依存している、7億ドル債務の監査がはじまっておらず、ガスプロムが供給契約を終了させるおそれがある。
posted by 藤森信吉 at 22:18| Comment(0) | モルドヴァ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ロシア、被制裁王を爆進中

こちらよると、ウクライナ侵攻後のロシアの被制裁数は5500件に達し、イランを抜いた
 Castellum.AI社の調査によると、2月22日より前のロシアの被制裁件数は2754であったが、22日後、5787件となり、イランを抜いた。制裁の対象は対個人が4923件、法人・団体848件、船舶13件、航空機3件となっている。2014年以降の対ロ制裁数でいうと、アメリカが1789件、EU1188件、カナダ1183件、UK1126件と続いている。
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2022年04月11日

モルドヴァに滞在するウクライナ難民は9.4万人

 モルドヴァ内務省によると、モルドヴァに滞在するウクライナ難民は9.4万人である。
 2月24日00:00から4月10日06:00までの間に、モルドヴァ・ウクライナ国境を37万4881人のウクライナ国籍人が通過、内27万6002人がモルドヴァ・ルーマニア国境から出国、3万5113人がモルドヴァ・ウクライナ国境から出国し、9万3754人がモルドヴァ領にとどまっている。
また、3万6052人の他国籍人がモルドヴァ・ウクライナ国境から入国、3万1506人が出国し、5885人がモルドヴァ領にとどまっている。
合計すると9万7570人(原文ママ)の外国籍人がモルドヴァにとどまっている。同期間中、内務省移民・亡命局は6205件の亡命申請を受けた。
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滞在者の数は微減。モルドヴァを通過してルーマニアに出国する者が多く、モルドヴァ領内では累積していないようだ。
posted by 藤森信吉 at 00:42| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする