2022年03月30日

モルドヴァ「中立は安全保障にならない」

 こちらによると、サンドゥ・モルドヴァ大統領は「モルドヴァの中立は安全保障になっていない」と述べた。
 スロヴァキア大統領との共同記者会見に臨んだサンドゥ大統領は「モルドヴァに脅威が迫っているとの情報はない。しかし、率直に申し上げて、疑いなくモルドヴァの安全保障は非常に脆弱である。隣国で戦争が起きているからだ。モルドヴァは中立国であり、憲法に記載されている。しかしこの中立を全てが遵守する訳ではない。我が国の領土には、他国軍-すなわちロシア軍が駐留している。これは疑いもなく、我が国の脆弱性となっている。我々はモルドヴァにおける平和と平穏の維持に努めているが、全てがモルドヴァ政権にかかっている訳ではない」と述べた。
 サンドゥ大統領は、沿ドニエストルからのロシア軍の撤退について、幾度となく言及している。

posted by 藤森信吉 at 21:01| Comment(0) | モルドヴァ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月29日

沿ドニエストルに滞在する避難民は2万人

 こちらによると、沿ドニエストルに一時滞在中の避難民は2万人である。
 2月24日以降、ウクライナから沿ドニエストルの国境を越えた人数は26000人で、内2万人が、一時的な滞在許可を申請している。何人かは、通過、もしくは、「遠い外国」途上で一時的に滞在している。その他は沿ドニエストルに滞在しており、親戚、知人、自力で賃貸したり、特別センターに滞在したりしている。29日朝時点で、7か所にある一時的滞在所には455人がおり、稼働率は63%となっている。
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 沿ドニエストルの実人口は30万人くらいといわれているので(出稼ぎが全員戻ってきたらかなり膨らむが)人口比でいうと、モルドヴァ以上となる。ウクライナ避難民のための国際社会の援助は沿ドニエストルに届いているのだろうか。
posted by 藤森信吉 at 20:15| Comment(0) | 沿ドニエストル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月28日

ウクライナの輸出入はどうなるのか

 こちらに戦時下におけるウクライナの対外貿易の状態が記されているので簡単に紹介。
輸出
・農業
 2021年度のウクライナの穀物・ひまわり油輸出額は186億ドルだった。2021年の穀物の国際市況は高騰し、いくつかの農家は穀物の備蓄している。開戦後、輸出港は封鎖され、2万トン/日を鉄道で輸出する道しか残されていない。小麦ととうもろこしの備蓄量は2500万トンと見積もられており、鉄道輸送量の3年分に相当する。ひまわり油も同様に深刻な状態だ。ひまわりは長期保存に向かず、原材料のままでなく、製油して売る必要がある。また、ヨーロッパ市場には、十分な精油施設がない。油を輸送する鉄道車両、トラックが必要であるし、積み替えポイントは戦争により大混雑している。ポーランド方面への鉄道輸送力の強化がなされているが6月末までかかる。
 開戦前は、ピーク時、700万トン/月が港から輸出されていた。港は今や稼働しておらず、鉄道輸送力は100万トン/月に過ぎない。これを500万トン/月まで強化する必要がある。
・鉄鋼製品
 2021年度の輸出額は140億ドルで輸出品の第二位を占めている。主たる輸出者はアフメトフ氏のメトインベスト、アルセロール・ミッタルのクリヴォイ・リフ、そしてジェバホ氏のフェロエクスポである。これらの大多数は東部に立地しており、攻撃に晒され、操業停止・縮小の目に遭っている。マリウポリ、アウディイウカ、ザポリッジャの工場は激戦地にあり、生産はストップ、完全な回復は不可能である。特にコークス工場は完全に建て直す必要がある。コメットスターリの生産量は2021年比60%であり、鉄道で国内外のクライアントに輸送している。また、アルセロール・ミッタル・クリヴォイ・リフ社は港の倉庫から製品を鉄道で輸出している。

輸入
・天然ガス
 2021年、ウクライナは50億m3の天然ガスを輸入した。ガス消費量は、鉄鋼、化学肥料産業の操業率に強く依存する。ウクライナ政府は天然ガス輸出を一時的に禁止しており、国内生産分で需要の2/3をカバーすることになる。ガス輸送は完全に機能している。ロシアは現時点でEU向けガス輸送を停止しておらず、そのおかげでナフトガス社はスロヴァキア経由で1000万m3/日のガス輸入が可能となっている。価格は1150ドル/1000m3となっている。ポーランドからの輸入も可能となっており、ウクライナ経由の輸送が止まった場合、ポーランド経由でアメリカのLNGを輸入することが可能となっている。目下の地下ガス貯蔵庫の備蓄量は95億m3であり、2800万m3/日が汲みだされている。第二の問題は、次の暖房シーズンへの用意である。斯様な低い備蓄レベルからどのように備蓄を積み上げるのか。
・石油製品
 2021年、ウクライナは60億ドルの石油製品を輸入した。ベラルーシ、ロシアからの輸入は、ガソリン消費量の43%、ディーゼル消費量の67%を占めており、開戦後の輸入中止によって、大きな問題が生じた。ウクライナはこの輸入分をEUに切り替えることが可能である。ポーランド、リトアニア、ルーマニア、アゼルバイジャン(スワップ)、その他から供給を増やしており、失われた輸入分を完全にカバーしている。輸入価格の高騰は、VAT引き下げ、国内需要の低下によって緩和されている。ウクライナ国内のガソリンスタンドの料金は、戦争前の水準に戻っている。
また、ウクライナ軍の需要は十分に満たしている。
・石炭
2021年、ウクライナは25億ドルの石炭を輸入した。石炭は発電所にとって重要である。11月に供給の60%を占めるロシア炭の輸入が止まった。代替は南ア、コロンビア、アメリカとなった。開戦後、輸入港が封鎖され、鉄道による輸入となっている。DTEK社はポーランドからの輸入契約を取り付けた。また、オーストラリアからの7万トンの無償石炭供給も予定されている。グダニスク港から鉄道でウクライナにもたらされる。
 一方で、ウクライナの石炭需要は鉄鋼所の操業停止により低下している。その結果、ウクライナの発電所・熱供給施設は石炭備蓄を微増させている。
posted by 藤森信吉 at 15:35| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月25日

ウクライナも軍事情報統制へ

 こちらによると、ウクライナ最高会議は、ウクライナ軍の撮影の非許可拡散を有罪とする法案を採択した。
 「戦争・非常事態下におけるウクライナへの国際軍事援助の輸送先・移動およびウクライナ軍の移動・停留地、その他軍事情報の無許可拡散に関する刑法改正案」を可決した。それによると、ウクライナへの国際軍事援助の行先、移動、位置情報がウクライナ軍参謀本部の許可なしに拡散した場合、3-5年の自由刑、ウクライナ軍の移動・その他軍事情報を参謀本部の許可なしに拡散した場合は5-8年の自由刑が科せられる。また、捏造・利己的な動機に基づく、もしくは侵略国および非合法武装集団に情報を提供し深刻な結果を招いた場合、8-12年の自由刑となる。
同時に最高会議は、人道援助物資を利潤や個人目的のために利用した場合、有罪とする法案も可決した。
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ポジールのショッピングセンターへのミサイル攻撃(市民が軍事車両が駐車している写真をアップした)を受けての措置だと思うのですが、ツイッターやfacebookで次々に投下される情報をどうやって統制するのか不明。


posted by 藤森信吉 at 21:33| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

消えゆくウクライナのロシア語人口

 こちらによると、ウクライナ世論の76%は「母語はウクライナ語」と回答した。
・レイティング社による世論調査、2022年3月18日、CATI (Computer Assisted Telephone Interviewing)、ウクライナ全土(クリミア・ドンバス除)、1000人を対象。
・どの言語があなたの母語か
ウクライナ語76%、ロシア語20%(2012年7月調査では、ウクライナ語57%、ロシア語42%)
・家庭では何語を話すか
ウクライナ語48%、ウクライナ語とロシア語33%、ロシア語18%、その他1%(2011年調査では、それぞれ44%、15%、40%)
・近い将来、ウクライナ語のみにコミュニケーション言語を切り替える予定はありますか
家でウクライナ語とロシア語を話すと答えた層 ウクライナ語のみに切り替える60%、切り替えない36%
家でロシア語を話すと答えた層 ウクライナ語のみに切り替える34%、切り替えない60%
・ウクライナ語とロシア語はどのように共存すべきか
ウクライナ語が唯一の国家語83%、ウクライナ語は国家語、ロシア語は一部地域の公用語8%、回答困難2%、ウクライナ語とロシア語は全土で国家語7%(2014年4月調査ではそれぞれ47%、23%、4%、27%
・ウクライナにおいてウクライナ語とロシア語の状態を表すのに最も近いものは
ウクライナ語話者とロシア語話者との間に何も問題はない67%、言語の問題はあるが重要ではない19%、深刻な問題であり、ウクライナ国内の安全・平和の脅威となっている12%
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 「母語」はあてにならない概念(回答者によって、捉えられ方が異なる)であることが改めて確認できるが、それ以上に、実際の生活で、ロシア語(のみの)話者が激減していることに驚く。クレムリンは、ロシア語の法的地位をウクライナ政府に求めているようだが、果たして。

posted by 藤森信吉 at 19:47| Comment(0) | 世論調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月23日

4月からはじまるモルドヴァのガス危機

 こちらによると、4月のモルドヴァのガス購入価格は1000ドル/1000m3を超える可能性が出てきた。
 2021年10月29日のガスプロムとの契約は、5年間であり、第一および第四四半期の価格は、石油製品価格(Platts)70%、天然ガス市場価格30%に依存する。第二・三四半期はこの割合が逆になる。70%がTTF Front month、30%が石油製品価格に依存するが、どの石油製品かは現時点では不明である。  
 2021年12月のヨーロッパの天然ガス価格は2190ドルで、2022年1月に800ドルに落ち、そして3月7日には、TTFハブ価格で3892ドルを付けた。チェバン・モルトヴァガス社長は、4月のガス価格が1000ドルを超えることは確実だ、と述べた。3月のモルドヴァ・ガスの契約価格は547ドル/1000m3であった。
 一方、国内販売価格は1月は620ドルであるが、4月以降、政府は冬季の補助金を払わないことを決めている。4月は暖房シーズンが終わるため、消費者のガス使用量は減少することになる。
 ガスプロムとの契約では、モルドヴァの過去のガス債務7億ドルの監査が義務に入っているが、ウクライナ戦争によって監査会社の選定がいまだ行われていない。モルドヴァ側はガスプロムに監査期間の延期を求めているが、回答はない。「5月にどこからガスを輸入するのか、回答困難であるが、ガスなしではこの国はやっていけない。監査期間が延長されることを願うしかない」とチェバン氏は述べている。
 仮にガスプロムが延期に同意しない場合、国営企業Energocom が他の供給者からガスを購入することになる。ガス価格は開戦直後に急騰したが、今は落ち着いている。
 またモルドヴァ政府は、EBRDとの間、ガス購入・ルーマニア地下ガス貯蔵庫への備蓄費3億ドルの信用供与について交渉中である。これにより、冬季2か月分のガス購入が望まれている。
 専門家は、監査期間が延長される可能性が高いとみている。モルドヴァは対ロ制裁に参加しておらず、また、ロシアも対モルドヴァ制裁を課していない。また、ロシアのガスは、沿ドニエストルの歳入の40%、GDPの半分を担っているため、ロシア・ガスがなくなることは沿ドニエストルの破滅を意味する。モルドヴァは、ヨーロッパ送電網とのシンクロテストが完了しているため、沿ドニエストルの発電なしでもやっていける。現状、モルドヴァの交渉の立場は昨年度より遥かに良く、最小の政治的犠牲で、経済へのショックを和らげることが可能である。
posted by 藤森信吉 at 23:31| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

沿ドニエストルもピンチ

こちらによると、ウクライナの戦争により、沿ドニエストルの貿易ルートが閉鎖されている。
 沿ドニエストルは食品の60%を輸入に頼っているが、その輸入ルートがウクライナの戦争により、使えなくなっている。さらにロジスティック網の破壊によって輸出にも問題が生じている。しかし今日の主たる問題は、沿ドニエストルルーブリの為替レートが維持できるか、ということにある。
 ウクライナにおける軍事衝突により、東部国境は閉鎖され、輸入食品の代替に迫られている。沿ドニエストル政府は100%の輸出関税を導入し、領内生産者を国内市場に向かわせるようにしている。
昨年度、沿ドニエストルの対外貿易額は過去最大となった。輸出額は過去20年間で最高の9億3890万ドル、内46%はモルドヴァ冶金工場(MMZ)が叩き出し、18%は電力輸出であった。輸出先の国別でみると、対EU輸出が34.9%、ついでモルドヴァ31.8%(ほとんどが電力)、、ウクライナ14.4%、ロシア9.2%であった。輸入額は16億4600万ドルで、44.9%がロシア(ほとんどが燃料、エネルギー)で、ついでルーマニア13%、ウクライナ12.1%であった。
 ウクライナにおける戦争で貿易経路が変更・困難になり、商品不足、コストの増加を招いている。沿ドニエストルのスーパーでは物不足が発生しており、販売制限がかけられている。しかし、現在の開放経済のもとでは、左岸で食品危機が起こることはない。沿ドニエストルは農業部門が未発達であり、食品不足を招いているが、右岸との貿易を活発化することで、この問題は解消できる。ウクライナ、ロシアからの輸入に頼る医療品についても同様に解決可能であるが、これらの薬品はモルドヴァでは認可されておらず、モルドヴァ通関経由での輸入が困難になる。
 沿ドニエストル・ルーブリは非市場的方法で維持されてきた。2018年以降、沿ドニエストルの対ドル為替レートは変化しておらず、16.1沿ドニエストルルーブリ/ドルが5年間続いている。沿ドニエストルは外貨準備がなく、行政的な手法で維持するしかない。逆に言えば、この人工的な為替レートにより、沿ドニエストルの住民は安い輸入品を享受できるが、地場産業は犠牲を払っていることになる。実際の市場レートでは、20沿ドニエストルルーブリ/ドルとなるかもしれない。MMZ製品は2021年に輸出額の半分を占めたが、これは、予算の外貨収入の半分をMMZが担うことを意味している。しかし、MMZは原材料の鉄屑輸入問題を常に抱えてきた。2019年にはウクライナからの屑鉄輸入を止められ、2022年初には、EUがモルドヴァ(沿ドニエストル含む)向け屑鉄禁輸を導入した。モルドヴァ側は屑鉄の輸入再開をEUに申し立てたが、未解決のままである。3月初には、沿ドニエストルの屑鉄の唯一の輸入源はモルドヴァとなってしまった。仮にMMZが操業を停止・縮小すると、沿ドニエストル経済に深刻な打撃となる。
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 ロシアのウクライナ侵攻で、中央アジアの友好国で穀物不足、出稼ぎ帰国という深刻な問題を引き起こしているが、沿ドニエストルも斯様にボロボロ。何やっているんだろうね、プーチンは。
posted by 藤森信吉 at 00:10| Comment(0) | 沿ドニエストル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月22日

モルドヴァ産リンゴ、ロシア輸出困難でピンチ

こちらによると、ウクライナ経由の輸出ルートが閉ざされたことにより、モルドヴァ産リンゴのロシア輸出が困難になっている。
 2月末時点でモルドヴァにはロシアに輸出される12万トンのリンゴが置かれている。伝統的な輸出ルートは、ロシアのウクライナ侵攻後に使用不可となっている。このため、モルドヴァの農産物のロシア、ベラルーシ、カザフスタン、ウズベキスタンへの輸出が困難になっている。特にロシアはモルドヴァのリンゴ輸出の95%を占めている。迂回ルートとしてルーマニア〜ハンガリー〜スロヴァキア〜ポーランド〜ベラルーシが目下使用されている。決済はドル建てであるが、ロシア・ルーブル建ての決済も排除されない。
 輸送料は、トレーラー当たり、モルドヴァからロシアへの輸出する場合、2700-3500ドルであった。今や新しいルートで2倍の6000ドルになっている。契約者のロシアのリテール網はロシア・ルーブリによる30日後の決済を提案しているが、輸出者にとっては、ルーブル為替レート変動というリスクがある。また、いくつかの輸出者はルーマニアの港からの海路輸出も行っている。
 問題の一つに、東欧諸国を経由する際の通行証明書が用意できないことがある。また、ポーランド・ベラルーシ国境の通過ポイントの閉鎖も問題である。ウクライナの活動家によってコロヴィッチ通過ポイントが封鎖されており、EUからベラルーシ、ロシアへの輸出が閉ざされている。第一弾の輸送トラックは3日も国境で留め置かれている。ロシア市場は、モルドヴァのリンゴにとって唯一の輸出先であり、目下の困難な輸送ルートにおいても輸出するしかない。リンゴの輸出によって3レイ/kgが利益とになるが、モルドヴァでジュースの材料となれば1.4レイにしかならない。ロシアでルーブルを抱えて、為替レートが好転したときにドルに交換してモルドヴァに送金することを期待するしかない。
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 モルドヴァのリンゴ、特に青いやつ(品種失念)は本当においしいんだよね。しかしウクライナの活動家はポーランド・ベラルーシ国境まで出張っているのか。
posted by 藤森信吉 at 14:12| Comment(0) | モルドヴァ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月21日

ウクライナ世論、勝利への確信揺るがず

 こちらによると、ウクライナ世論の77%は「ウクライナは正しい方向に進んでいる」とみなしている。
・世論調査会社レイティング社による調査、3月18日、CATI (Computer Assisted Telephone Interviews)によるインタビュー、ウクライナ全土1000人。
・ウクライナは正しい・正しくない、どちらの方向に進んでいると思うか
正しい方向76%、正しくない14%、回答困難10%
正しい方向(西部82%、中部82%、南部72%、東部61%)
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・ウクライナはロシアに勝てるのか
絶対72%、どちらかというと21%、回答困難3%、どちらかというとそうならない2%、完全にそうならない4%
絶対に勝てる+どちらかというと(西部78+17%、中部74+20%、南部72+23%、東部54+31%)
・どれくらいかかって対ロ戦争で勝利できるか
約一週間9%、数週間38%、数ヶ月23%、回答困難17%、半年-1年9%、1年以上3%、勝てない4%
・どの国が敵-味方か(インデックス処理、-2から+2)
ポーランド1.8、リトアニア1.5、イギリス1.4、アメリカ1.4 (中略) フランス0.8、ドイツ0.6、中国-0.2、ベラルーシ-1.7、ロシア-2.0
・ゼレンシキーとプーチンの停戦直接交渉を支持するか
支持する74%、しない24%、回答困難2%
・ロシア部隊の撤退なしに一時的停戦協定を結ぶことに賛成か
完全に支持できない78%、どちらかというと支持できない11%、どちらかというと賛成5%、全く賛成3%、回答困難3%
・ウクライナのNATO加盟を支持するか(3/12-13の調査)
支持する72%、関心なし12%、回答困難5%、支持しない12%
・ウクライナが対NATOで採るべき立場は
NATO加盟44%、NATO標準の改革された軍隊を持つが加盟なし42%、NATO加盟は求めず7%、回答困難7%
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正しい方向に進んでいる、という回答が、平和な時代には2割台、戦争に突入して7割台、なんとも悲しい。多大な犠牲を払っている東部でやや悲観的(それでも十分に高い)な数字が出ているようです。
posted by 藤森信吉 at 14:35| Comment(0) | 世論調査 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月20日

野党プラットフォーム-生活党、活動停止措置

ゼレンシキー大統領は、親ロ派系の11政党の活動を停止する措置をとったことを発表した。
 大統領は「ロシア連邦による全面戦争とそのロシアと関係あるいくつかの政党があることを鑑み、戦時中に以下の11政党の活動を禁止することを国家安全保障会議が下した。すなわち、≪Опозиційна платформа – За життя≫, ≪Партія Шарія≫, ≪Наші≫, ≪Опозиційний блок≫, ≪Ліва опозиція≫, ≪Союз лівих сил≫, ≪Держава≫, ≪Прогресивна соціалістична партія України≫, ≪Соціалістична партія України≫, партія ≪Соціалісти≫, ≪Блок Володимира Сальдо≫ である」「これらの措置は国家、ウクライナの利益にかかわることである」と述べた。
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 議員が散り散りになっていて国会が機能しない状態でこの決定はどれほどの意味があるのか分からないけど・・・開戦後、野党プラットフォーム-生活党はクレムリンとは明らかに異なる立場を採っていた( 「戦争」「ロシアの軍事侵攻」という単語を使ったり、ウクライナ国軍に差し入れしたり)のですが、活動禁止を食らいましたか。クレムリンは、占領地経営や傀儡政権でこれら親ロ派政党やウクライナ・オリガルヒの役割を重要視すると思っていたのですが、野党プラットフォーム・生活党所属のドニプロルードゥネ市長を拉致したり、アフメトフの製鉄所を破壊しているところを見ると、そうではなさそうです。
posted by 藤森信吉 at 16:21| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ウクライナとモルドヴァ、欧州送電網に接続に成功

こちらによると、3月16日、ウクライナとモルドヴァの送電網がヨーロッパ大陸の送電網とシンクロ接続された。
このことは、目下の暗黒期におけるウクライナの電力システム、家庭の暖房、電灯の安定を保つことになり、EU-ウクライナ間の歴史的なマイルストーンとなる、と欧州委員会は記している。
EUは、需要が切迫しているガスやエネルギーの供給を確保してエネルギー部門におけるウクライナ支援を継続する、いずれグリーンディールや市場改革で、ウクライナと協力を続けられる日が来るであろう、と結んでいる。
posted by 藤森信吉 at 00:33| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月19日

モルドヴァに滞在するウクライナ難民は10万人

 こちらによると、2月24日から3月19日までの間、モルドヴァに32万5448人のウクライナ国籍人が入国した。
 他方、22万4668人のウクライナ国籍人がモルトヴァから出国(モルドヴァ・ルーマニア国境から出国209334人、モルドヴァ・ウクライナ国境から出国15334人)しており、現時点でのモルドヴァ領内には99049人のウクライナ国籍人が滞在している。また、モルドヴァ・ウクライナ国境から33660人の他国籍人が入国し、29337人が出国(ルーマニアへ28849人、ウクライナへ488人)し、4122人がモルドヴァ領内に滞在している。
 合計すると、ウクライナ領内からモルドヴァに入国した内で103171人がモルドヴァ領内に滞在しており、うち49522人が子供となっている。また、移民・難民局は5157人から難民申請書を受領している。
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 日本のニュースだと「モルドヴァへ難民35万人」と書いてあるが、単なる入国者数のようだ。それでも10万人というと、モルドヴァ総人口の4%くらいになる。難民がモルドヴァからさらにルーマニアに移動する動機は何だろうか・・・関係ないですが、ロシアに出稼ぎに行った沿ドニエストル人(の内、ロシア国籍パスポート保有者)が、モルドヴァ・ロシア間の航空便閉鎖で帰国できず悶絶しているようです。ウクライナ国籍、モルドヴァ国籍だとシェンゲン圏を通過して陸路で戻れるが、ロシア国籍はビザが必要。ビザなし渡航だとトルコ経由、エジプト経由になりクソ高くなる。
難民数
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2022年03月18日

モルドヴァ、5月からガス欠のおそれ

 こちらによると、5月1日以降、ガスプロムのモルドヴァ向けガス供給が止まる可能性が出てきた。
 スピィヌ・モルドヴァ副首相がテレビ番組において「モルドヴァは過去の債務を監査する時間がなく、ガスプロムが5月1日以降、ガス供給を停止する可能性がある。ガスプロムと過去の債務の解決に関する契約を結んでいるが、モルドヴァ・ガス側は7億ドル債務を独立監査する必要がある。しかし、戦争で、この地域に監査員を派遣したがらず、どの法人とも契約できていない。近い将来、経験ある国際的な監査法人と直接交渉する予定である。しかし、5月1日には間に合わないだろう。この件でモルドヴァ・ガスはガスプロムと交渉中である」と述べた。
 その上で、5月1日以降について
1.ガスプロムは監査期間の延長に同意する
2.ガスプロムはガス供給を停止し、モルドヴァは他の供給源から市場価格で購入する
 という2つのシナリオを示した。「我々はEnergcom社と共同したり、あるいはEBRDからクレジットを受けて、ルーマニアにガスを備蓄する計画を練っている。ガスが来ない場合に備えてあらゆる可能性を検討している」とスピィヌ氏は述べた。
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 沿ドニエストルの命運もかかってます。
posted by 藤森信吉 at 23:20| Comment(0) | エネルギー問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

モルドヴァ世論の4割「戦争責任はロシア」と認識

 こちらによると、モルドヴァ世論の4割は、戦争の責任はロシアにある、とみなしている。
 マーケティング・社会調査会社CBS-AXA社による調査、2月25日〜3月13日、モルドヴァ全土1012名対象。
・ウクライナにおける軍事紛争の責任はロシアによる38.4%、ウクライナにある20.6%、回答なし・分からない40%
・難民問題について、宿泊場所を提供する用意がある43.2%、モノ、食料、衣料品を提供77.2%、寄付金 55.3%
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 以前の調査結果と総合すると、モルドヴァ世論は必ずしもウクライナ支持一色ではないようです。

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2022年03月11日

モルドヴァ世論の2割、ロシア支持

こちらによると、モルドヴァ世論の2割はロシア支持であった。
・モルドヴァのコンサルティング企業megentaconsulting社による世論調査、3月3-5日、右岸、Computer Assisted Telephone Interview (CATI)による携帯・固定電話インタビュー、539名を対象
・今を言い表す最も適切な表現は(一択)
ロシアによる対ウクライナ戦争 61%、特別軍事作戦26%、回答なし・わからない13%
・ロシア、ウクライナ、どちらがに付きますか
完全にウクライナ側34%、どちらかというとウクライナ17%、どちらかというとロシア10%、完全にロシア10%、どちらでもない21%、回答なし・わからない7%
・プーチン大統領の対処ぶりをどう評価するか
非常に肯定的9%、どちらかというと肯定的16%、どちらかというと否定的15%、非常に否定的46%、回答なし・わからない14%
・ゼレンシキー大統領の対処ぶりをどう評価するか
非常に肯定的29%、どちらかというと肯定的21%、どちらかというと否定的14%、非常に否定的23%、回答なし・わからない13%
・戦闘はいつまで続くと思うか
一週間12%、2-3週間17%、1ヶ月17%、2-3ヶ月9%、半年から1年 7%、1年以上15% 回答なし・わからない24%
・モルドヴァのEU加盟を支持するか
完全に支持する40%、どちらかというと支持する21%、どちらかというと支持しない10%、全く支持しない21%、回答なし・わからない8%
・ロシア・ウクライナ紛争についての主たる情報源は(3つ)
facebook 25%、ケーブル/衛星テレビ16%、moldova 1局15%、Pro TV局14%、TV8局14%、Prime局11%、Jounal TV局11%、インターネット9%、以下略
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ロシア軍の侵攻を生の声で伝えてくれる難民が殺到していて、当局がロシア・ロディアをカットしている中での、この数字。
親ロシア率はかなり高いと見るべきか、ゼレンスキーを混乱の元凶して評価していないと見るべきか。
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2022年03月10日

モルドヴァ首相、中立堅持を言明

 こちらによると、ガブリリタ・モルドヴァ首相は、NATO加盟政策は採らない、と述べた。
Euronewsのインタビューにおいて、首相は、「モルドヴァは沿ドニエストルを抱える複雑な地域にあるが、モルドヴァは中立国であり、憲法に記されており、国民がこの原則に基づいて行動することを期待している。EUとの統合は続けるが、NATO加盟を求めることはない」と述べた。
 また、「沿ドニエストルのロシア軍が紛争に加わる可能性」を問われると「そのようなリスクは観察されていないが、状況は不確定である、現在の交渉フォーマットで協議しており、拡大の気配は見られない」と述べた。
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モルドヴァ、沿ドニエストル電力と契約更新(ただし1か月)

こちらによると、モルドヴァは、MGRESモルドヴァ国家地区発電所(沿ドニエストル)と短期契約を結んだ。
スプィヌ・モルドヴァ副首相によると、契約期間は4月分のみで1年間契約とならなかった理由は、発電所側が、ウクライナ情勢により安定的に天然ガスを供給される保証がない、としてきたためである。「契約は5月1日までであり、4月1日に我々は新しい料金体系になるが、大きな値上げばない。MGRES側と交渉を継続し、年間契約を目指す」と副首相は述べた。
 また、目下のところ、モルドヴァとウクライナは2月24-26日のテスト後にENTSO-Eに接続されているが、ウクライナと共同でのみ、ヨーロッパの電力システムに接続して電力を受け取ることができる、と述べた。
「2月のテスト中に戦争が起きた。この情勢では、ウクライナは東方(ロシア、ベラルーシ)の電力システムと接続することはない。キエフは、EUに対し、8月のテストを待たずして早急にヨーロッパ電力システムとシンクロさせることを求めている。モルドヴァも同様の要請を出している」と副首相は述べた。
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 ガスプロムのガスを使って、ロシア企業INTER RAOの子会社MGRESが発電している。ということなので、MGRESとの契約継続によって、モルドヴァは侵略国家ロシアを助けていることにもなるのだ。まあモルドヴァは経済制裁に参加していませんが。モルドヴァがEU側から電力を買う場合、価格が高くなる、電力輸出に依存している沿ドニエストル経済が死ぬ、という問題が出てきます。
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2022年03月09日

モルドヴァ社会党、永世中立法を提出

 こちらによると、モルドヴァ社会党とモルドヴァ共産党は永世中立法案を議会に提出した。
 バトルィチナン・モルドヴァ議会副議長(社会党)とスタルィシ議員(共産党)はモルドヴァが目下、ウクライナの悲劇的な出来事により見舞われている困難な情勢において、モルドヴァ中立の遵守・維持が喫緊の問題である、国際社会の実践とモルドヴァの経済的・軍事-政治的潜在力を考慮し、中立は、イデオロギーのみならず、実践においても国の独立を守り、不意な軍事的脅威から国を守る原理となる、と説明した。
 また、法案に含まれるポイントとして、
・永世中立の役割と本質
・国境不可侵を確保する方法
・外国軍の役割と所在
・軍事部門における国際協力の条件
等を挙げた。
両名は、さらに、モルドヴァ住民の80-90%は永世中立に賛成であるとして、世論の多数派に法案支持を訴えた。
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平和維持軍(=沿ドニエストルとロシア軍の混成)の扱いはどうなっているのだろうか。
posted by 藤森信吉 at 12:33| Comment(0) | モルドヴァ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ボイコ、ついにロシアのウクライナ侵略を批判

 ボイコ・野党プラットフォーム生活党共同創設者は、ロシア軍の侵略を批判し、ウクライナを守る決意を表明した。
 「野党プラットフォーム生活党の戦略的課題は、戦闘地域の住民に対する人道援助・避難民の援助・ウクライナ防衛を組織することである。我々はロシア軍のわが国への侵略を非難する。わが党員の多数は重要なインフラ設備、住居の警護、そして強奪との闘いのため、各地域の軍に登録している。我々は、この侵攻の被害者、人道回廊実施に尽くした人々、そして人道援助を担っている人々を援助する。我々は、この酷い時期における我々国民の支援に全力を尽くす。我々はウクライナを防衛する」
Мы будем защищать Украину
Главной задачей Стратегического совета ОП-ЗЖ является организация гуманитарной помощи населению в регионах, находящихся в зоне боевых действий, помощь беженцам и защита Украины.
Мы осуждаем агрессию российской армии против нашей страны. Члены ОП-ЗЖ массово записываются в территориальную оборону, чтобы охранять объекты критической инфраструктуры, жилье граждан и бороться с мародерами. Мы помогаем людям, пострадавшим от этой агрессии, участвуем в проведении мирных коридоров, а также оказываем гуманитарную помощь.
Мы делаем все, чтобы помочь нашим гражданам в это страшное время. Мы будем защищать Украину!

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 ということで、野党プラットフォーム生活党は、ロシア派ではないようです。戦況を分析したか、あるいは前線に立たされた地域支部からの突き上げがあったのか。それとも傀儡の決意を固めて、ウクライナ人民側に寄せたのか。
posted by 藤森信吉 at 01:30| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月08日

野党プラットフォーム生活党、やはりロシア派か

こちらによると、野党プラットフォーム・生活党は、ウクライナ人民側に立つとの決議を採択した。
 野党プラットフォーム・生活党は、戦闘地域を含む各地域の党リーダー達と政治局会議をオンラインで開催し、全会一致で党の行動方針を採択した。
 それによると、党は戦闘活動の中止のための外交条件を支持し、ロシア政府、ウクライナ政府、外交交渉参加者に対して、停戦の即時決定を行うよう呼びかけた。外交・交渉は、戦争からの唯一の出口であり、生命を守り、人道的災難を回避する。
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プーチンの降伏条件を丸呑みすれば、軍事行動は終わり、人が死ぬこともない、(俺たちはパージされないよね)、というロジックのようです。「徹底抗戦」「一撃和平」「無条件降伏」どれが良いのかは私にはわかりません。しかし、野党プラットフォーム生活党はロシア侵攻の批判をしませんね。
 
posted by 藤森信吉 at 12:26| Comment(0) | ウクライナ論評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする